3年前にコースマーシャルとして東京オリンピックに参加した視点で、パリ・オリンピックのTVer中継を観戦。やっぱりフランスは自転車競技の本場と痛感!
コースマーシャルは、黄色の三角フラッグを振る競技役員です。日本の呼称は立哨役員。その役割とは、自分に任されたコースの持ち場に立って、<レースの隊列を安全に通過させる>こと。
TVer中継でもたくさんのマーシャルが仕事していました。彼らはコース際が狭まるところ、急コーナーの手前、ランドアバウト(環状交差点)の手前などで、そこが危険である旨をアピールするために三角の黄旗を振ってアピール。その振り方、日本とはちょっと違っていました。
coppiが審判講習会で教えられた振り方は、「曲がる方向に三角旗を矢印に見立てて振りなさい」だった。でも、パリのマーシャルたちは、方向性には無頓着。あれでもいいのかなぁ。あれでも危険アピールにはなっているから、問題なしだよね。
東京オリンピックのマーシャル執務では、自転車競技の専門家として現場を仕切る役目でした。
執務=レースが現場通過する数時間前に現場で待機しつつ、レース観戦者がコースに侵入しないようにフェンスを設置する作業の監督、ボランティアの皆さんに現場の安全管理における指示、競技無線でレース進行をワッチして先頭選手が何分後に通過するかを把握してそれを交通整理の警察官や自衛隊員と情報共有、信号機を手作業で操作する警察官に道路閉鎖のタイミングを指示する。そして三角の黄旗を振ってのアピール
最後の選手が通過して、道路閉鎖を解除するまでがコースマーシャル執務。パリ・オリンピックTVer中継画面の左上に<3 CHASE GROUP +14:37>といったタイム差表示が出る。マーシャルはこのタイム差を無線で聴いている。先頭から最後尾のギャップはおおむね15分で、これは道路閉鎖を続けるときの許容範囲。最終プロトンから千切れて、チーム伴走車の後ろになった選手はレース除外対象です。
レース中盤、先頭と後方集団のタイムギャップは13分20秒
補給袋を使っていた。ステムにはコース情報かな
フェンスの内側で執務するマーシャルや警察官は、レース観戦する人に向き合う形で立つのが基本。レースに背を向けて立ち、興奮した観戦者が身を乗り出して手や旗を振ったりする危険行為にも注意する。
MOTOコミッセールが2人の追走選手にボトル補給
それにしても、フランスのレース観戦者たちは多彩で、観戦スタイルが洗練されていると感じました。また、国旗の扱いを見ていると自国旗に誇りを抱いていることがわかる。選手がナショナルジャージを着用しているのもいい。2位と3位に入ったフランス勢の強さにも、やっぱり自転車競技の本場はフランスだなと想う。(日本勢は新城幸也が56位、女子の与那嶺恵理は26位。ともに単騎参加での健闘でした!)
距離273km、6時間19分34秒に及んだレースは、レムコ・エヴェネプール(ベルギー)が勝利。残り38kmでプロトンを飛び出し、15kmの独走を決めた。残り4kmでパンクに見舞われたエヴェネプールがチームカーから代車を渡されてレース復帰する場面はドキドキでした。
代車は黒いスペシャライズド・Sワークスでしたね
それにしても個人TTに続きの金メダルW獲得。レムコ・エヴェネプールの偉業達成に感動!!
画像:TVerより