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若い才能との遭遇、それはいつも楽しみ!!

ジュエリー専門の水野学園から派生したサイクルデザイン専門学校は、毎年この時期に“卒祭”を青山校舎で開催。宝飾や手巻き時計などの手作り作品もいいのですがやはり、自転車に興味津々。

【卒祭2025】

会期:2025年3月7日(金)~3月9日(日) 

時間:11:00~18:00 ※9日は17:00まで

会場:学校法人 水野学園 青山校舎

昭和の時代にあった細身のクロモリフレームでラグワークの美しさをアピールする作品は乏しい。ねぇ、21世紀も四半世紀過ぎているのだから当然。

さっそくご紹介。今回は25作品がふたつの教室に展示されていた。いずれも生徒が昨年9月から3〜4カ月・週3時間をかけてハンドメイドした。

ノーブルなグラベルロード

太いクロモリチューブの前三角を銀ロー接で制作し、念入りな塗装(缶スプレーとは思えない)を施し、ワイヤをトップチューブに内蔵工作し、アウター出口はあえて真鍮ローまわりをあらわに見せているロードバイクがcoppiの琴線に触れた。それがこの青いロードバイクだ。

木村マック礼門さんの作品【BicleR:Delusion】

ドリフト楽しい!

パッと見て、キュンとなったのがこれ。

サドルの横にあるレバーを起こせば(上げる)小さなコロ(車輪)の取付け角度が変化して横方向にドリフトできる。レバーを下げれば角度が直って安定を取り戻す。サドル側の塊、ハンドル&ペダル側の塊が、2枚のボードで結合されている。分解すると小さく収納可能。省スペース性を追求している。

顧 維桐さんの作品【Laughing】

 

グランプリ受賞

樹脂ヒモを用いて剛性を保つ工夫が光る。ダウンチューブ&チェーンステーは省略。作者は、テンションシルクの荒井正氏の助言を得て、深く作り込んでいる。水野学園による審査ではこれがグランプリに輝いた。

鈴木玖偲さんの作品【Cross Chord】

準グランプリ

輪行袋に入れるときに、ホイールを外し、ハンドルを曲げないで済むデザイン。一般的な乗車ポジションを取れて、実際に乗りやすい。

柏木勇樹さんの作品【Spirale】

特別賞(ヤマハ発動機販売賞)

企業コラボされた卒展、これがその受賞作。親の真似をしたがる年長〜小学低学年を対象としたカーゴバイク。歩道でも走れるよう全長1.9mに収めて制作。ハンドルからフォークに1本ロッドが伸びていて操舵する機構だ。

鳥丸流心さんの作品【Litte Cargo Bike】  

陸上競技用車椅子

卒展で初の障がい者用サイクリング機材。健常者が乗ってもいいようにゆとりを持たせたサイズに作ったそう。製作者は企業訪問して車椅子機材のノウハウを学習した。社会的視点が光る。

塩澤友晟さんの作品【X-chair】

ビールケースのサイズ

この箱型自転車は、居酒屋でアルバイトする作者の発想。乗れるだけでなく、バイクで移動するときに小さいから積めて、キャンプに持っていけば箱状の部分が机、椅子、荷物収納にもなり、とっても便利とアピール。

石塚雄輔さんの作品【4WAY】

スターレーをオマージュ

「今年は自転車の元祖、スターレーの安全型自転車が登場から140年。そこで節目の年に、最新の規格を踏襲しつつ、今では見られなくなった造形を焼き直して、融合した1台を作りました」が作者メッセージ。フレームチューブの使い方に工夫があり、ディスクブレーキを装着側チェーンステー強度に配慮した視点が素晴らしい。

赤羽秀虎さんの作品【FOX】

 

若者のノリがいいね

全地形対応の自転車としてまとめられたピストバイク。造形としてはフツーだけれど、フォークとヘッドに描かれた手描き模様が、いかにも学園祭ノリで微笑ましい。

大髙直輝さんの作品【All Terrain Track】

乗りこなしてみせろ!

アメリカの闘牛競技、ロデオ・ブルライディングをイメージ。乗りこなすのが困難な設計で作られた。前後ハブに赤いハブ毛をあしらったのは、乗りこなして見せろという作者からの挑戦状。

黒田陽南さんの作品【Kanoemon】

ハンモック・サドル

卒展ではハンモック・サドルが2台に採用。ペダーセン型自転車に乗るとこの手のサドルが体重を面で受けてくれるのでお尻が快適。昔からあっても普及していないアイディア。このplainは腰痛持ちの人にオススメかも。

安藤颯真さんの作品【plain】

あえて “キワモノ”

「キワモノのファニーバイクを現在のストリートに復活させるべく制作しました」が作者の弁。650cで前後異径ホイールを採用。スチールフレームの伝統的な美しさが見事に表現された一台だ。

林田 丈さんの作品【REAL PURSUIT】

卒展ではほかにもユニークで創造性ある作品が自転車クリエーションコースで学ぶ生徒たちにより2フロアに展示されている。

自転車マニアの目からは、卒展の評価はちょっとアート寄りで専門性の視点は疎い(失礼)。でも、だからこそ、今日的な感性に溢れている。

あなたも、まだ今日と明日、その刺激を体験できます!(3月8日記)

ジュエリーもぜひ!

      

Post Author: coppi