東京サイクルデザイン専門学校の“卒祭”、ジワっと感動しました。
学校法人水野学園は、ジュエリー、時計、自転車の分野で人材育成し、学園祭と卒業制作展をひとまとめにして青山口校舎で卒祭を催す。キッチンカーが来て、興味深いワークショップ参加もできる。もちろん、coppiのお目当ては若者の創る自転車センスに刺激をもらうこと。今年は29人の生徒が作品作りに関わり、27台が展示された。
生徒は自転車関連業界にほとんどが就職するわけだが、彼らは年に2回ほどフレーム製作実習を受け、3年制の自転車クリエーションコースだと卒業までに個人で6台、グループでも数台手がけるそうだ。積み重ねた成果が卒祭で披露される!
どんなジャンルの自転車か、内訳を紹介するとマウンテンバイク1台、荷物運びカーゴ系4台、ロード・ツーリング系6台、ピスト系(街乗り含)7台、その他(小径、一輪、幼児向け、転倒防止機構付き等)9台。生徒の視点・コンセプトに社会性があり、それ故にジャンルが分散されているのかと感じた。
制作者がいれば話を聞くのだが、うれしいことに2人から、「これは自分のサイズで誂えました。オーダーメイドですから」という温かい声と想いに触れられた。
注目車を9台ご紹介。
MODURA 制作者:羽島 瞬
フレームのダウンチューブがボルトナット固定!! 久しく見ない斬新な手法だ。トップチューブをLEDでライトアップして「近未来感を演出」したという。着想がいい。

CYCLOADER. 制作者:加藤大夢
リカンベントのようなシートに座り前方のペダルを漕ぐ。両手をスイングさせると操舵できる。後部の設計荷重容量200kgだが、「出来上がったとき5人を載せて試走したけれど余裕でした」と加藤さん。この作品は東京サイクルデザイン専門学校の準金賞、Spin the Future賞、YAMAHA企業コラボ賞を獲得。

RIDGELINE 制作者:山田雅一
「細めのクロモリチューブを三次元立体に組み上げた鋼管スペースフレームをぐるっと回って眺めてください」と山田さん。なるほど、なるほど、下から見上げるのも一興。坐骨を載せるサドル部もユニーク!この作品は東京サイクルデザイン専門学校のベスト賞獲得。

alcedo atthis 制作者:岩﨑大河
開口一番、「鳥のカワセミが好きなんで、細部のシルエットや印象を寄せて造り込んだ」と熱く語ってくれた。それは自作ステムやISPで、さらにシートステートブリッジを後ろから見て欲しいとの由。おゝ、ブリッジ造形も凝っている!この作品はプロダクツ部門トップ賞、サイクルスポーツ賞を獲得。

ivy 制作者:黒田琉仁
「制作期間3ヶ月の内でコンチネンタルラグ削り出しに2ヶ月半、フレームを形にするのは2日ほど」と涼しげに黒田さんは言う。バッグやキャリヤも特製。素晴らしいキャンピング仕様ミニベロだ。東京サイクルデザイン専門学校のコンセプトモデル賞を獲得。

RADIATA 制作者:笹野 祐
さまざまな局面で乗り味を変えられるように、エキセントリックハンガーや、スライダーエンドを採用。ギヤをいじってシクロクロスでも走れる“オールラウンダー”のグラベル系ピストバイク。

My Favorite Things 制作者:小松崎来美
「暮らしに馴染むように設計しました」と小松崎さん。自分サイズに合わせて全てをつくり、手首が楽な形状のブレーキレバーや小物類にまでこだわった。チェーンケース付きというのもオシャレ。

HOJ09 制作者:服部楓士
自転車に乗る際にふらつきや転倒が怖い人向けの補助輪付き自転車。補助輪が目立たず、「補助輪部分を球体にしているのでカーブの時も軸になって曲がりやすい」と服部さんは主張する。試してみたい。

THRONES 制作者:篠宮秀虎
ケルビムのハミングバードをオマージュ。ハミングバードを手がけた今野真一氏から「もっとこうすべきだったポイントを本人から伺って」、ハンドル部とシート部の造形を洗練!もちろん自分サイズで完成!!

9台以外にも、魅力的な着想の作品がずらりある。明日の8日は11時から17時まで、水野学園・青山校舎(渋谷区渋谷1-20-5/明治神宮前駅より徒歩5分)で見ることができるので、ぜひ足をお運びください。
この卒展に関わった29人の生徒さんらが、働き甲斐のある職場に恵まれ、自転車社会を支えてくれることを祈りたい。