房総半島の海岸線には断崖が多い。防砂林が植えられているエリアは、海抜2〜3m程度で砂丘状になり、砂地の小径が刻まれていることがある。枯れた松葉に覆われて、乾燥した枝が落ちている。そこに可愛い花や、ときにはサボテンが自生している。
陽光に満ちた小径をこの季節、訪れるのは健康のために歩く人、犬の散歩の人くらい。自転車でも辿れるが、砂に前輪が埋まるとハンドルを引き上げる動作が必須。砂に後輪が埋まりやすいので軽めのギヤで回してスピードを殺さない工夫が大事。でも人影を見つけたらすぐに下車して道を譲る。それが小径に侵入する自転車乗りのマナー。
砂の小径を行くには、それなりのテクニックとマナーが必要。
海を見下ろす砂地には草が生えていて、蝶々や蜂などが飛び交います。腰を下ろして午睡をむさぼる。穏やかな眺めです。
コンクリートの遊歩道がついている区間もある。そう、湘南海岸と同様です。でも房総の海沿いの小道を行けばやがて必ず断崖にぶつかる。石灰質で硬くなった地層が海の波食で顕になった断崖は房総の特徴。
断崖を見上げる波打ち際を辿るときは、潮汐に気をつけましょう。満ち潮で退路が断たれると面倒です。でもそういう場所はきれいです。Jazz好きな人ならエロル・ガーナーのコンサート・バイ・ザ・シーが脳裏を過ぎるのでは?
ご紹介したのは富津海岸から磯根崎のエリア。走れるのは半分くらいで、押すべき場所や機会もある。のんびり小径を愉しんでください。何度も息を飲むはず。