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パンデミックで各国政府が新型コロナウイルス後で仕事を失った国民に金銭的支援をした後に、その経済的ツケをどうするか? 国民すべてに消費税を課すわけにはいかないから富裕層に絞って課税するプランもあるとか。 第二次大戦では財閥解体や広大な未使用敷地を農地解放として取り上げたりしましたが、何らかの大胆な策を断行するのでしょうか。

そんな流れで思い出すのが1960年に開催された「第1回ツーリスト・トロフィー選手権大会」という東京〜大阪600kmを3日間で駆け抜けるサイクルロードレースに参加した「十字号」です。 第二次大戦でゼロ戦や戦艦武蔵をつくって戦争協力した三菱財閥が、戦後の財閥解体と平和産業への転換を占領軍GHQに指導されて、十字号というジュラルミンをフレーム素材に使用した自転車です。

十字号

詳しいいきさつは「自転車物語IIバトルフィールド」(角田安正著/八重洲出版刊)に物語風によく書かれていますが、ゼロ戦のために秘匿しておいた厚板ジュラルミンをプレス加工のリベット打ちで接合するというまんま飛行機つくりノウハウが採用された画期的フレーム。クロス型フレームなので三菱十字号、それをツーリスト・トロフィーで走らせたのは萱場産業でした。記録フィルムを見ると、スタートラインに並んだ自転車は見るからに重そうな実用車がある。そんな中で十字号は一際輝いて見えました。

 

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リベット鋲は航空機の場合、薄い素材を合わせるときに流体力学のうえで出っ張りが少なく滑らかにできるメリットがあったからでしょうが、十字号では流体力学ではなくてリベット自体がたくさん秘匿されていたのではないでしょうか。

トークリップ付きレース仕様

フォークブレイズがストレート形状であり、ハンドルが左右ともクランプにより上下左右に首振りできるのもユニークです。ツーリスト・トロフィー参加車両は、ハンドルがドロップで、荷台が外して軽量化しています。写真ではよくわかりませんがハブギヤを組み込んでいたかも。

残念ながらレースで勝利を掴めず、販売も芳しくなく、やがて消える運命の十字号。ゼロ戦の素材でつくられた自転車。その出自を思うと語り継いでおきたい一台です。

Post Author: coppi