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ゆっくり台風10号は、イベント主催者には開催の可否を判断するには悩ましい相手でした。昨日、千葉・成田のサーキットで行なったロードレースもギリギリまで耐えて天気図にらめっこで実現された。

朝6時に立哨スタッフとして現場に向かって東京を出たとき、雨は時折フロントスクリーンを濡らすほどだが風は強め。駐車場の草地は雨粒が光っていた。マトリックスが開催するこのホビーレースは、子どもクラスがU9からあり、小中学生レースが充実。サイクルレースの裾野を広げてサイクリング普及をホンキで考えられているイベント、coppiは大いに気に入ってます。

その落車事故はコース幅8m以上あるような緩い下り坂で発生。薄陽が差す蒸し暑い時間帯、30人ほどのプロトン内で4人が絡んだ。そこは自分が担当する立哨エリアで目視したから後続ライダーに対して注意喚起するため、すぐに黄旗を右手でコース側に差し出しながらホイッスルを断続的に吹きながら芝生を走った。まずは現場の安全確保が優先!

僕より先にモトコミッセールが駆けつけ、近くの立哨も来て、まずは転んでうめく3人のライダーをコース外側の植え込みに誘導して転がったロードバイクが片付けられた。もう1人はコース内側の芝生に倒れたままで、僕が30mほど走り到着したときはモトコミッセールがすでに倒れている選手と会話していた。意識がある! まずは確認。

 

雨のレースは滑りやすくパンクも起きやすい。ウエアもバイクも泥だらけ

後ろを振り返り、後続選手はないものの、(2分程度はやってこないはず)二次被害防止の観点から事故現場より15mほどコース内を戻って黄旗を振る。その間にもサグワゴン(回収車)手配を無線で聞いた。視界にコース内を走っていた救急救命士が駆けつけたのも見え、やりとりも聞こえた。

プロトンは時速50kmほどで走っていたはず。芝生に投げ出された選手のヘルメットは「割れていますね」モトがメットを視認。これは救急救命で言うところの「高エネルギー外傷機転」であり、僕が受けた救急講習会では<頚椎損傷を疑って、話しかけずに近寄り、まずは頚椎確保する>だったが、自走で駆けつけたベテラン救急救命士はそうせずに、サグワゴンから帆布担架を出させて、横臥姿勢の選手に半身を少し起こさせてその下に担架を滑り込ませた。こういう処置もアリなのね。

次にサグワゴンを横付けし、4人がかりで担架をワゴン内に回収。その間、レース中断し、走っていた選手は順次コース外に誘導されてコースクリア。サグワゴンはコースを順走で走り戻った。細かく時間経過を記録しなかったが、大会スタッフの連携は素晴らしく落車発生から選手回収まで10分程度だろう。その後、レースは続行された。天気も回復してレース日和。

僕はレース再開までの時間、審判長にことわりを入れて救急車対応に赴いた。レース会場では救急車要請をした際、救急車をスムーズに誘導するのも大事。それを買って出たわけだが、学びがあった。救急車はとりあえず15分ほどで来た。だが、すぐに倒れたライダーを病院に運んではくれなかった。なんと、受け入れ先がなかなか見つからなかったからだ。

会場の道や駐車スペースには、参加者や自転車の往来が絶えず、出展ブースや飲食ブースを訪れる客たちもいる。その人たちに救急車通過のスペース作りを要請し、さらに駐車車両の辺りでローラー台を踏みウォームアップする選手にも、アップ中断をして別の場所への移動をお願いする。すべての頼みは、急を要するときはホイッスルだが、基本的には<すみませんが>の嘆願。これが基本姿勢。結局、救急車がレース会場を離れるのに45分を要した。

午後は陽光に恵まれ、参加者たちはレースを思いっきり楽しんだ

救急車要請すると、警察官もやってきて事故の顛末を徴収する。事故発生時間(無線発報の記録で判明)、落車当事者たち(当事者の引き留めは難儀)の調書が事故報告書となり、これが保険申請に必要になる。

救急車要請が必要な落車事故、ホントに大変です。

Post Author: coppi