いわき〜御宿漁港(晴天)
東京・夢の島マリーナで使うモーターボートを福島・いわきで購入したオーナーから回航を手伝ってと誘われた。いわき市から都内へは陸路なら高速道路で一気に移動できるが、海路では太平洋の外洋へ沖出しして房総半島を回り込むロングディスタンス。
1週間前くらいから気象状況をにらみ、3月20日に出港日と決定した。「いわき海の駅」に前夜にオーナーと2人で投宿。ヤマハ・スポーツクルーザーSR310に荷物を積み込む。この艇は沿海仕様の31フィートでスタイリッシュな滑走型艇。エンジンは350馬力、ガソリンはハイオク仕様で満タン470リットル。ガス目盛りは8段階で1目盛り50リットルで1時間走れる。3500〜4000回転がオススメ巡航ゾーンで、20〜22ノットは余裕。
5:30には明るくなった。船の説明を受けて、ハーバーマスターから立ち寄る銚子港や避難港にオススメの勝浦港などのアドバイスをもらう。
いわき〜銚子は85マイル、銚子〜東京は130マイル程度。房総半島の手前、野島崎灯台から洲崎灯台を右に見て回り込むあたりは波や海流がやっかいだろうと予想していた。
07:10、出港。港を出ると磁針方位180度で沿岸よりずっと離れて4300回転24ノットで快走。波高は1メートル。8:15ガス目盛りが1つ減る。
11:40、銚子の海の駅に着岸して201リットルを給油。10分ほどで出港。
最初は穏やかな海況で、ドローンを飛ばして撮影したり、アシカらしき生物の群れに出会って観察したりで、海の旅を愉しんでいた。オートパイロットで航海できた。
だが、海は牙を剥いた。追い波で九十九里を快適に過ぎた14時ころから波高1.5メートルくらいで波の向きが複雑になり、渦潮のように海が凹んでいるところも。そこを10ノット程度で波に翻弄されながらの操船。向かい波の落差でスロットルコントロールが悪いと船体が叩かれ、船体は20度くらい傾く状況が続いて疲労が募る。先々の波を読むために中腰姿勢でのハンドリング。波に阻まれ、逆に押されて気がつくと20ノットも出ていたりするので気が抜けない。
モーターボートでの外洋航海で未知の荒れた海旅では、早めに安全な港に入ることが肝心。操船の難度が上がる一方なので、勝浦港の手前にある網代湾にある港に避難港を変更。
15:30、御宿漁港に命からがら緊急避難。着岸して舫をとると親切な漁師が御宿漁港組合長を呼んでくれた。改めて漁港側が勧めてくれた岸壁(北側の月夜見神社側)に舫をとり、潮汐対策にロープを調整。オーナーはホテルに行ってもらう。
地元のIさんが自宅の風呂を使わせてくれ、焼き鳥の差し入れをいただく。夜は2時間おきくらいに岸壁と船体の間隔をチェックしつつ地酒を呑む。ああ。疲れたぁ。
左写真:デジタル機器がフル装備だから海が穏やかならオートパイロットで気楽なクルージングが可能。 右写真:岸壁に舫をとるが、潮の干満差に合わせてロープ調節が必要