coppiの観念ではビンテージ自転車の黄金期は1950年代から1970年代ですが、それより古いとクラシックで、1930年以前の自転車はベテランのカテゴリーです。クルマのクラシックカーとは違います。
クラシックは具体的年代を指すのでなく、古き佳き時代を彷彿とさせる表現で正統なニュアンスのイメージ。同じような意味にレトロもあるがこちらはちょっと古いです。ベテランは本当に古い個体を指す。
ツール・ド・フランスで変速機が許された1937年以前の自転車はベテランでしょう。シングルギヤ、またはダブルコグです。(ヴェロシペードやオーディナリーは別扱い)
ベテラン時代の自転車乗りスタイルを愛好する人は、骨のある人です。過酷なレースの物語への憧憬を実現させ、実際に古い自転車であの過酷なレースを追体験することに喜びを見出すダンディズムの持ち主です。
初期のツールは、1日に400kmほど走り、スタートは夜でした。明るい時間にスタートしてはフィニッシュできないので、前夜にスタートするのがセオリー。何故でしょうか。長距離を走った経験者は理解できます。夜が来るのに不安がありますが、朝に向けて走るのは希望があります。例えば、ブルベで300kmを走るのは健脚なら難しくないけれど、400kmになると夜間走行があるので難易度が上がります。
でも、BR400(400kmのブルベ)をクリアすると、BR600にチャレンジしたくなり、遂には1,000kmや1,200kmの超長距離に挑戦したくなるもの。
サイクルスポーツに興味ない人にとって、一日中サドルの上で過ごす人は狂気の沙汰と映るでしょうが、サイクリング好きの人でもベテラン時代の自転車で同じことをする人はホントに凄いですね。
複数の凄い人を観察すると、共通項がありました。ベテラン自転車乗りは乗り物が好き過ぎて、シンプルな構造やアイデアを愛し、やせ我慢を厭わない。
そんな敬愛する一人のベテラン自転車乗りを次回、ご紹介させてください。
写真は2017年のEroica JAPANにおけるスタート待ち風景 photo©︎coppi