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2012年にベトナムを走りました。

社会主義共和国ですが、首都ホーチミン市を散策してもあまり体制の異なる印象はなく、カフェで飲むコンデンスミルク入りコーヒー、朝の屋台で食べるフォーは美味しかった。サイクルスポーツ誌では阪急交通社と組んで毎年、“海外サイクリングツアー”を主催していたのです。2012年のベトナムは僕がアテンド・ライダーでした。

サイクリングツアーを安全に滞りなく成功させるためには、事前の準備が大事。

⚫️わかりやすいルート。

⚫️適度な休憩ポイント。

⚫️全員が収容できるレストラン。

この3要素を、前年に実地踏査する。

3人が前年に日本から現地に飛び、地元の事情通(ランド・オペレーター)のアドバイスを受けて、クルマで見て回ります。

観光地や、サイクリスト目線で素敵な場所では、輪行してきた自転車をおろして撮影。その画像が「告知記事」に活用される。

旅行社担当者、編集者、カメラマンがしっかり事前調査するからこそ、魅力的な旅行商品に仕上がる。

 

ベトナムでは、数十人の参加者を“護送船団方式”で走らせました。

先頭には赤旗を掲げたサイドカー付きオートバイ。道案内役が同乗。

最後尾にも赤旗を掲げたオートバイが付く。

オートバイに乗る3人は臨時雇いした警察官です。

赤旗の効果は絶大でした。

いろんな国でツアーをしたが、赤旗は社会主義国ならではの策。

アメリカでも、ヨーロッパでも、バスとトラックは必ず用意。

何らかの理由でリタイヤする参加者と自転車の回収のためです。

高価な自転車を満載したトラックの盗難対策ノウハウは企業秘密。

通常の海外団体旅行より、サイクリングツアーは入念な作り込み。

だから、やや高価な旅行商品になる。

アジア地域のツアーをアテンドする役を嫌がる人もいたが、僕はベトナムを担当できてうれしかった。映画「Good Morning, Vietnam」(1987年作品)のイメージがあり、女性の青サイ、道を埋め尽くすオートバイの群れに出会いたかった。

「グッモ〜〜〜ニン ベットナ〜〜ム!!!」と叫ぶのが主人公のDJ。彼はAFVN(米軍ベトナム放送)で働き、担当番組冒頭でロングトーンのシャウト。

ビートの効いた音楽と笑いで戦いに疲弊した兵士たちを癒す。

印象的だったのは戦争シーンにかぶせられるルイ・アームストロングの歌うWhat a Wonderful world。青サイの美女に恋したDJがその弟と人間的な交流を持つのだけれど政治的軋轢でつながれず別れるしかない…。

ベトナム戦争はリアルでした。夜の新宿で遊んでいたとき、ディスコでは黒人の一次帰還兵がたくさん踊っていた。明日、戦場に戻る人たち。

それにしてもベトナム、フランス植民地だったからかホテルのパンが美味しかった。孵化寸前の鶏卵の茹でたのも食べた。レストランの皿に飾る野菜が折り紙のように綺麗だった。食べ物の記憶ばかりだなぁ。

ASSOSのノースリーブで走ったら、しっかりUVクリームを塗ったけれど帰国後はしばらく皮膚が痛かった。今なら迷わずUV対応のロングスリーブを着るけれど、あの当時はノースリーブがトライアスロンでトレンド。痛い記憶だ。

海外サイクリングツアーは7日〜10日で組み立てた。

旅行代金は大卒初任給2カ月分くらい。

高いけれどリピーターが10人くらいはいた。

価値ある旅行商品であったと思う。

Post Author: coppi