
「MTBで転んでみよう」を15年前には子供たち向けに企画しました。
いかにダメージを抑えて走るかが、自身の内なるテーマでした。
当時のトップ選手である竹谷賢二選手、エキップアサダの山崎健一さんにご指導いただき、受け身で転がるノウハウを伝授いただいた。
先週は審判員向けに「落車対応」研修会を企画しました。
講師に横浜消防署の救急救命士であり内房レーシング所属の鈴木英之さんをお迎えして、レース主催者の立場で落車対応にあたる者に必須のノウハウを伝授いただいた。
3時間の講習前半は座学。119番通報は落車現場にいる者がスマホで通報すれば、ビデオ電話の利用が可能。だから、傷病者の容態、緊急的な対処方法アドバイスが得られる=LIVE119。
自転車事故でいちばん怖いのが時速30km以上での“高リスク受傷機転”によるダメージ。ヘルメットにヒビが入るような頭部への衝撃。
高リスク受傷では頸髄のなかにある中枢神経が損傷している可能性があるので、受傷者が首を動かさないように“頸椎確保”をまず施す。これが大事。
あなたにも覚えがありますか? バーンと転ぶと、転んだ後に痛みを感じてくる。でも首や手足の痺れがあればまだいい。 感覚がない! そうだといけない。 首の骨のなかに通っている中枢神経はいったん損傷すると回復しない。だから首を固定(頸椎確保)しておき、救急車を待つ。
レース審判員であり、現場で落車対応にあたる立哨役員(マーシャル)やモトコミッセール(移動審判)は、医療従事者ではありません。できることは、119番通報で救急車(またはドクターヘリ)が来るまでの一次救命処置(BLS:Basic Life Support)です。
先週の研修会では後半実技で、受賞者をコース外に移動させるために担架へ載せるログロール、ログリフトをやりました。動かせられない受賞者を丸太に見立てて、頸椎確保しながら4〜5人の共同作業で行う救助ノウハウ。しかし、4〜5人の共同作業は実際のレース現場では難しいものです。人手が足りないことが多いから。
レースの審判員たちは、主催者側であり、選手や観客の安全に責任を持って行動しています。もしもあなたが、落車事故に遭遇したら、高みの見物でなく、できる範囲のご協力をお願いします。
転んだ選手の呼吸が停止していたら、審判員は無線発報と共に心臓マッサージをします。そのとき、あなたが近くのAEDを持ってきてください。
心臓停止の女子選手なら、衆目に晒されないように、立ちはだかって見えないようにしてあげてください。
救急車が到着するまでおおよそ10分以上の時間、1人の人間が心臓マッサージを正しく毎分100〜120回行うのは無理。1〜2分で疲労困憊、そんなときには誰かが素早く交代してマッサージを続ける必要がある。
救急救命の最優先は、死にそうな人を助ける。軽傷者は後回しです。
こういった救急ノウハウを、審判員たちは学んでいます。
安全守り・安心レース・共に創ろう!