
1カ月以上も前、ビンテージ自転車を扱う『葉山自転車市場』主人の門脇大作氏がブログで「凄い自転車が入荷しました」と興奮気味に書いた。
「CAMINARGENT(発音:カミナルジョン)、1938年製造、フランスのデゥラルミン製自転車。八角形のメインフレーム、アールヌーボーのようなデザインのラグ、サドルは軽量化のためベースとレールが1枚のアルミ板で構成されている。なんと専用ポンプは装着したまま使える仕様。
個人的に1番ビックリしたのはこのレーサーは溶接ではなく、すべてのパイプをネジで留めているのですが、そのネジが四角いアーレンキーで留めるようになっていて反対側がメーカーの盾のマークが沈胴するようになっていて供回りを防止している。ネジが嵌まる部分の精度が凄いです。まるでオーパーツを見ているようです。」
「工具はアーレンキー1つだけでバラバラにばらせる所も凄いですね、ダウンチューブとトップチューブのネジを4か所緩めればデモンタブルのようにもなりそうです。本では見たことがありましたが実物はやっぱり凄いですね。」
第二次世界大戦以前のビンテージが得意分野の門脇大作氏をして、「凄い」連発を言わしめるカミナルジョン、「補修ができて組み上がった」との連絡を大作さんからいただき、喜び勇んでいざ葉山!!
好天に恵まれ屋外撮影を敢行。葉山自転車市場から路地を入るともう海。被写体のカミナルジョンは売約済み、撮影を許してくださったオーナーのご厚意に感謝します。右クランクを下にして石で固定。海風で倒れないかドキドキ!!
海をバックにしたカミナルジョンは、アルミ生地が反射光を浴びて美しい。フレームの細さ、タイヤの太さ、サドルとハンドルの位置関係、じつにバランスがいい。
シートチューブに取り付けられたドイツ製エアポンプ。これなら効率よくポンピングできる!
日本への嫁入り、「仲介人が引き取りに来るなら渡す」と前オーナーのフランス人が条件を出したそう。なぜなら、右のエンドに問題があった。大事にされていたカミナルジョン、葉山自転車市場では左のエンドを外してそれを反転する形で新たに右エンドを作ってちゃんと乗れるように仕上げた。だから1カ月の待ち時間が必要だった。
それにしてもパッと見て、それが再生エンドだとは気づかない。アルミ素材はオリジナルよりやや柔らかいそうだが完璧な出来上がり。そして組み上がり。前オーナーもこれなら納得してくれるだろう。
続く