オフロード系モーターサイクルでは有名ブランドのファンティック(FANTIC)はe-BIKEも手掛けていて昨年から日本上陸。最新モデルに乗る機会を得た。
MTBのクップ・デュ・ジャポンが開催されていた長野・富士見パノラマリゾートは冬はスキー場で、グリーンシーズンにはゴンドラで上がれる山頂からいくつもMTBコースが刻まれている。
雨はやんだがコース状況はマディーで沢のような水流がレースコースを分断したが、それでもたくさんの選手がレースを楽しんだ。特に驚いたのは小中学生の多さだ。「この数年でBMXあがりの子供が増えてます。コブの跳びに勢いがあって上手です」とは事情通から聞いた話。
コースオープンになり有名エリートライダーが某ブランドのサポートによりビギナーを集めてコース攻略スクール開催。子供からオヤジライダーまで20人以上が参加していた。
●コロナ禍で不景気な自転車界だが、MTBシーンは不変の活気あり
会場にはキッチンカーや、各ブランドのブース出展があり賑わった。その一角に2台の試乗用e-BIKEを並べたテントがあった。モーターサイクル好きには知られたファンティック。興味津々で試乗できるか訪ねてみた。
クローズドコース遊び用!
対応いただいたのはe-BIKE統括マネージャー丸山剛さん。開口一番に、「ここに並んでいるファンティックは欧州仕様で、日本のパワー制限はありません。街乗り移動ではなくて、スキー場にあるコースを楽しむときにペダルを踏んで上まで移動して、MTBらしく下りを満喫する使い方をしていただくものです」と教えてくれた。すでに1シーズンで100台以上の販売実績がある。日常の移動手段でなくゲレンデやトレイルコースで遊ぶための限定的用途。カタログ上ではフレーム素材別にアルミ、カーボン、フルカーボンの3つがあり、乗り方別にTRAIL、ALL MOUNTAIN、ENDURO、DOWNHILLがあり、価格は60万円台からラインアップ。
試乗したのはカーボンの『XTF1.5 CARBON SPORT』だ。
フルサスの29吋ホイール、モーターパワーは250Wでトルクは90Nmを発揮する。ハンドルのバーグリップから親指で4段階のパワー特性を選べる。インジケーターには文字と色で、エコ(緑)、ノーマル(黄)、スポーツ(青)、ブースト(赤)が表示される。じつに分かりやすい。
●4段階のパワーは色で表示されているので一瞬で判別できる
XTF1.5は本来、遠くまで旅をしたいとか、森林や山を探索しながら下りも楽しみたいユーザー向きのTRAILカテゴリーである。
欧州仕様パワーユニットは、日本仕様が時速24kmに至る途中でパワーアシスト量が速度に応じて半減するのに対して、パワー感が上の速度域まで落ちない。ただし、落ち加減が違うだけである。欧州のほとんどの国では25kmがアシスト上限規制で日本のようなアシスト量比例制限はない。 ちなみに、日本の規制は製造・販売するメーカーの自主規制による型式認定制度であり、道路交通法とは別だ。 欧州仕様のe-BIKEで公道を走ってもいいが、自転車=軽車両として走ることになる。道路の左端を走行し、交差点右折は二段階といった法律をちゃんと守ればいい。
試乗に借り出したXTF1.5、まずはハンドルいっぱいに切っての小回りでクランキングして出力特性チェック。最強のブースト(赤)モードでスタンディングからペダルをちょいと漕いでみたが思ったよりも扱いやすい。そのまま舗装路の坂に向かえばグイグイ進む。
●ロックショックスのフルサスを搭載。ゲレンデ遊びには最高
草の生えた土と砂利混じりのトレイルを下る。フルサスの恩恵で気楽に走れるし、道に刻まれた排水溝の盛り上がりをフロントアップしても挙動はスムーズなまま。ブレーキの当たりも自然でいてスピードコントロールが思いのまま。
急なターンでも剛性感はいい。パワーをスポーツ(青)に落として走るのが僕の感性にぴったり。適当に走り、また砂利のトレイルを上り返すときも青パワーでトルクアシストは十分。赤パワーではアシストが強すぎる。このファンティックに搭載されたモーターのトルクは90Nmであり、他社は概ね70Nmなのでパワフルなのは当然。
「モーターサイクル代わりに使うユーザーは本国で多くて、エコパワー(緑)で航続距離120kmはいけます」と丸山マネージャー。
●試乗したTRAILカテゴリーのタイヤは前後29吋。ただしよりオフロードに振ったカテゴリーは異径で後輪に27.5吋を採用する
日本でのユーザーは30代から50代で、以前はMTBに乗っていたが体力の衰えを感じてファンティックに乗り換え、自走で登ってから下りを集中して楽しむ、そんな人が典型的ユーザー層だという。
なるほど、そんなマインドに共感だ!!
XTF1.5 CARBON SPORT
価格:90万2000円(税込)
モーター:broseS-MAG36V 最大出力:250W 最大トルク:90Nm
バッテリー:リチウムイオン電池 36V 720Wh
ディスプレイ:broseオールラウンド4多機能ディスプレイ&プッシュアシスト式選択ユニット
フレーム:カーボン サイズ:S、M、L、XL
フォーク:ロックショックス Pike SELECT e-BIKE 29吋 150mm
ショック:ロックショックス Deluxe SELECT T205×60Air
駆動系:FSA
変速系:SRAM
制動系:SRAM
ホイール:Rudi Black Jack READY27
タイヤ:Pirelli SCORPION ProWall Trail29吋×2.4
ハンドル:FSA
シートポスト:Switch SW 30.9径 125〜150mm
サドル:SELLA ITALIA Novus BoostEVO
問合せ先:モータリスト合同会社 https://fantic-ebike.jp