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開幕したツール・ド・フランスで、落車が相次いだ。ツールを走るプロ選手のスキルは高い。それでも落車は起きる。

初日ステージは2度の大落車でクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)を含む4人がリタイアを喫した。イグナタス・コノヴァロヴァス(リトアニア、グルパマFDJ)は頭を打ち一時的に意識を失った。脳震盪。

第3ステージ終盤、ログリッチやロペス、ヘイグといったマイヨジョーヌ候補たちが落車し、最終コーナーでサガンさえ落車という混沌。なぜこんなに落車が多いかの分析には諸説ある。自転車がスチールからアルミ、アルミからカーボン時代になってバイクの挙動がトリッキーになったのではないか。80年代までのロードレースではない事態だと僕は思う。

ここ数年、スポーツ指導を行なうコーチたちが気を遣うのは、熱中症と脳震盪。昔のように倒れた選手に水をぶちかけて復活させて戦いに復帰させるような野蛮は問題外になった。スポーツドクターも、コーチも、チームアテンダントも、基本的な対応策は心得ているはず。

落車してすぐに動けない選手は脳震盪と疑い、さらにヘルメットが割れているような衝撃があったなら頸椎骨折を疑い動かさない。頸椎損傷であれば声がけも本人が首を動かさない位置になってからする慎重さが必要。動かなかった選手が気付いて起き上がろうとしたらとりあえず後続ライダーなどに轢かれる危険がない確認をしつつ「動かないで」と声をかける。なぜならアドレナリン分泌で興奮状態にある選手は冷静でなく、すぐにレース復帰をしたがるものだから。

声がけして、意識状態をチェック!

落車した選手にはまず質問する。「今日は何日?」「何ステージだっけ?」「どうして転んだか覚えている?」など。指を左右に動かして目線がちゃんと動かせるかも確認。意識がしっかりしていて動けるようなら、レース復帰を認められる。

しかしレースに戻ってもフラフラ走るならすぐ棄権させる。意識が戻った後に再度意識障害に陥ることもある。何か事故を起こしたらレース復帰させた自分にも責任が及ぶ。

●神宮クリテでの落車。落車事故の救助対応はまず救助者自身が二次被害に遭わないように動くことも肝心。頸椎損傷は初期対応で選手の予後が大きく変わるので責任重大だ

自分でも落車して意識が飛んだ経験はある。転ぶまでプロトンのいい位置でまだ余裕があるなら早くレース復帰したい。それが選手のキモチ。分かる、走らせてあげたい、分かるからこそ脳震盪への対応、悩ましい。

Post Author: coppi