ジュニアアスリート育成事業というプロジェクトのお手伝いで、小学生に室内講義をした。キーワードを“摩擦”にし、自転車に乗る前の10秒セルフチェックというテーマの20分講義。
10秒セルフチェックとは、1)タイヤ空気圧チェック、2)ブレーキの効きチェック、3)ネジの緩みによる異音チェック。細かくは書きませんがホント、10秒でできるんです。クルマでいうところの始業前点検。
ここでちびっこ生徒たちに説明ですが何事も“つかみ”が大事。キャッチーな言葉や行為で相手の心を鷲掴み! この日にしゃべったセリフは、「はい、タネも仕掛けもありませ〜ん」で、二冊の本(JCFルールブック)を開く側(小口)であわせ、トランプをシャッフルするようにページが互い違いに重なるようにして、片方の背表紙を持ち上げてみせた。くっついて浮いている!
そう、紙の面がたくさん重なり合ってそこに摩擦が生じたので、片方の本の背表紙を持ち上げてももう片方の本は落下しなかった。これ、小学生にはウケました。
たくさんのパーツとフレームがネジやクランプで摩擦の作用でしっかりくっついて自転車は形を成している。自転車が進むのはタイヤの接地面と地面がしっかり摩擦力でグリップするから。摩擦が足りないアイスバーンや砂利道では進まない。エアロもやっぱり速度が上がれば空気の粘性が二乗で上がり摩擦(空気)抵抗が増すとか、摩擦は凄いキーワード。
小学校1、2年生に向けて教えるのにどうするか? coppiは悩み、考え、地団駄踏んで気づきました。 足を地面に擦らせる実験をすればいいかも!
教室はリノリウムの床なので、階段の踊り場で段差ゴムの滑り止めを、ちびっこたちに靴で擦らせました。大成功、みんな楽しそうに靴底と床面の摩擦の違いを実感。
実験方法を決めるまで2日間も時間を費やしてしまった。でも、某大学の自転車競技部監督さんが授業参観にいらしてくださり、「自転車の乗り方が下手な新入生にも聞かせてもいいかも」と言ってもらってうれしかった
さらにうれしかったのは、室内授業後に草の河川敷で「摩擦」を理解してもらうために二人のインストラクターが急制動でホイールのロック誘発でドリフトを実演。制動距離の違いを「ど〜してかなぁ?」と子どもにたずねたら、「タイヤの太さが違うので摩擦に差があった」と答えてくれた子がいた。聡明な子がいるもんだ。
摩擦・圧力・遠心力。こういったキーワードで自転車が走る仕組みを考えてみるのも、頭の体操になりますね。大人相手だとわりと楽だけれど、子ども相手にやさしくはホント難しい!