彼女や、家族とサイクリングライフ満喫を願う人に、ぜひお勧めしたいのが「ジャストライド」(Pヴァイン刊/翻訳:沼崎敦子/2,200円)。
著者のグラント・ピーターセンは“リーベンデール”という自転車ブランドのオーナーで、アメリカンナイズされた味付けのサイクリングスタイルを提唱。
これが典型的な車種
リーベンデールはアメリカ人でないと成立しないセンスのデザインで、それを創り出したピーターセンの自転車哲学が面白い! 『ジャストライド』を読むと、アメリカの雑誌に健筆をふるうピーターセンの皮肉な論理がお見事で、自転車をごく普通の人向けに優しく作っていることが書いてある。さらによく読めばピーターセンがその心境に至った心の旅も理解できる。
ヘッドバッジやグラフィックも凝っている
“ラディカルで実践的な自転車入門”のサブタイトルが付くジャストライドは8章250ページで、1章:ライディング、2章:装備、3章:安全性、4章:健康とフィットネス(このふたつを混同してはいけない)、5章:アクセサリー、6章:維持、7章:専門知識、8章:ヴェロソフィ(自転車哲学)。
翻訳がまた素晴らしい
7章までの論理は、一般的な体力と考え方の人向け。普段使いの自転車、旅自転車で大事にすべき説明が独特の語り口で示される。たまに痛烈な皮肉・批評が繰り出される。
自身が自転車レース選手であったにもかかわらず『レーシングが種を絶滅させる』の古くからの金言をピーターセンは支持。神様のようなレーサーが新しいバイクのテクノロジーを承認するのをおとなしく待っていて、「プロにとって良い製品だから、誰にとっても良い」としてお金を使うのはいかがなものかと読者に問い、平易で説得力ある理由を明らかにする。
消費者にフレンドリーだ
リーベンデールは、サーリーにも相通じる精神がある。
日本贔屓のピーターセン、以前はブリヂストンUSAで仕事をしていた経歴の持ち主。ピーターセンの自転車愛とプラグマティズム、流石です!