連載の締めくくりにパラサイクイクリングの課題を話そう。
車いすユーザーは老人も含めて200万人と言われているが、アクティブスポーツをしようとする障害者がどれだけいるのだろうか。パラスポーツには水泳、陸上、バスケットなど競技の選択肢は多いが、東京に3カ所ある公共の障害者スポーツセンターでは赤羽にTクラスのサークルがあるだけ。
機材スポーツである自転車競技は(健常者の機材も同様)初期投資が高価であり、さらにレースイベントが少ない。故に敷居が高い。
ちょっと長い引用‥‥
2020東京大会オリンピック・パラリンピックを契機の一つとして文部科学省は全ての人が輝く“一億スポーツ社会”の実現を平成29年度の「スポーツ基本計画」で謳った。それによれば、平成28年度調査(障害者は平成27年調査)では、成人の週1回以上のスポーツ実施率は42.5%だが障害者は19.2%、週3回以上は成人19.7%だが障害者は9.3%。 障害者スポーツを通じて障害者への理解・共感・敬意が生まれる。 子供、高齢者、障害者、女性、外国人などを含めて全ての人が分け隔てなくスポーツに親しむことで、心のバリアフリーや共生社会が実現するーー
――「する」人を増やしつつ、「見る」「支える」人も含めてスポーツ参画人口と捉えるーー
――体育やスポーツプログラムに関する財源を確保することは、前向きで社会経済効果を生み出す、安全な投資である(体育・スポーツ大臣等国際会議=ベルリン宣言)――
サイクリングの世界にパラサイクリストが共存できるのが望ましい訳だ。でも、難しく考えるのはとりあえずやめよう。できることから始めよう。
有望株はタンデム自転車のサイクリング。これは高齢者にも視覚障害者にも優しい乗り物。機材もそれほど高価じゃない。東京都を含む一部の自治体では制限があるがほとんど全国の道路でサイクリングできる。これはプール施設が必要な水泳、コートやグランド施設が必要なバスケットや陸上競技よりずっと自由だ。
手前の青いタンデム自転車はKHS製「TANDEM MILANO」で26万4000円。
車いすの人には、アダプタータイプのハンドバイクが簡便でいい。メーカーによって互換性が問題だが、テレウスが扱うドイツのシュトリッカー製なら子供用サイズもあるし、電動アシスト式もある。
シュトリッカーは27万8000円からあるが、外装式ギヤ付き「Ultra」は43万8000円。
アダプター式ハンドバイクとタンデム自転車によるアクティビティーは、パラリンピックのような競技スポーツよりずっと気楽。もちろんスポーツするからには事故や怪我のリスクはあるが、サイクリングロードや郊外の自然豊かな道を走れば気分爽快だし、健康にいいから、医療費抑制にも貢献。
ちなみに雨の陸上競技場でのイベントはTCF(東京都自転車競技連明)パラ小委員会による「パラサイクリング体験会」の模様です。目の不自由な子どもがハンドバイクやトライクで生まれて初めて自分の力で風を切って走り、ウワーォ〜!!と歓声。後ろからインストラクターが声で方向を指示しての単独サイクリング体験、した側の喜びもうれしいでしょうが支えた側もでっかい感動をもらえました。
パラリンピックの記憶が薄れないうちに、もっと多く人がパラスポーツへ興味を繋いでくれることを意図して連載記事を興した。次のパリ大会でも金メダルを取れて日の丸が挙がってほしいね!