2021年のFERRO mari e montiで見たテロー、思わず足をとめました。
歴史を振り返るとテローは1887年にフランスで設立され、モーターサイクルと自転車を作ったが1958年にプジューに統合されてテローブランドは1961年に終了。さて、この車体はテローとプジョーのダブルネームですがこれは以前のオーナーがプジョーのデカールやバッジを遊び心で付け足したのでしょう。
これは紛れもなくテローです。
TERROTとくれば、“シクロツーリズムの父”であるポール・ド・ヴィヴィことヴェロシオを語らねば! フランス人のヴェロシオは1888年に自転車雑誌『ル・シクリスト』を創刊して自ら長距離ツーリングでテストした機材紹介記事を書きフランス自転車界に多大な影響を与えました。
1889年にはフリーギヤを2つ後輪に嵌めて前に漕いでも後ろに漕いでも前進する機構を発表。変速機構の重要性を説いた。そして1916年に世界初の実用外装変速機を装備した車体がテローでした。フロント変速機でも、細いフォーク状のロッドを取り付けて2枚のギヤにチェーンを掛け替える“火掻き棒”を考案。このアイデアは後にカンパニョーロやヴィットリアが真似ました。
ヴェロシオが自転車ツーリングの素晴らしさを啓蒙し変速機の普及を説いていたとき、レース好きなサイクリストは固定ギヤに固執していました。ツール・ド・フランスで変速機使用がUCIにより解禁されたのは1937年、ヴェロシオ没後7年も経てからです。
FERRO mari e montiに参加したこのテローはフランスのパーツで見事に組まれています。変速機はユーレー。アンドレ・ユーレーは1930年にレース用外装変速機を手掛けました。代表作はアルビーですが参加車両のはズベルト。ユーレーのブランドも消えてその技術はスラムに受け継がれています。
ブランドの歴史、でした~。