レース大会立哨役員、ツアーガイド役にも知っておいてほしい非常時対応、2回目の今回はアフター119番通報の巻。
自転車ロードレースでありがちな事故は、落車による擦過傷、打撲、捻挫、骨折。 ヘルメットが割れるような衝撃を伴う落車では初期対応がまずいと頚椎損傷などで傷病者は手足麻痺で車いすの生活となる恐れがある。 落車して脳震盪を起こしているのに焦りから走り出す。 これは危険。
救急車の内部
事故現場ではまず、現場で傷病者を観察する。
2023年のNHK「もしものときの応急手当て」で、救急救命東京研究所の田邊晴山教授は以下のようにコメント。
「もし、ビュービューと吹き出すような大きな血管からの出血では、手や足を縛るといったようなこともありますが、それはちゃんと訓練を受けてから実施するのがよいでしょう。日本赤十字社の救急法講習などで学ぶことができます。」(下手にすると患部が壊疽)
「かつては、傷口を水でぬらすと細菌感染しやすくなる、と考えられていましたが、傷口に砂や土が付いていると、細菌で傷が感染するおそれが高くなりますので、むしろ、傷ができたらすぐに傷口をきれいな水で洗って、汚れなどを洗い流してしまう、こういったことが大切です。」
「ペットボトルなどに入ったミネラルウォーターがあれば一番です。なければ、糖分が入っていないお茶でも結構です。」 まずは止血! 呼吸停止の場合→心臓マッサージ!!
同時に後続の連鎖落車防止する対処も。
落車当事者(ヘルメットが割れて倒れている場合は別)が自力で動けるようならコース外の安全なところに移動を促す。 障害物(壊れた機材など)をコース外に出す。 これらをスムーズにやる。
救急隊員が用いる全脊柱固定のための硬質タンカ「バックボード」
倒れていた人で、嘔吐や吐血がある場合は安全な場所で<回復体位>をとらせる。
「回復体位」とは、救急車が到着するまで傷病者が安全な場所で安静を保てるようにするための姿勢。反応はないが普段通りの呼吸をしている傷病者が再度の嘔吐や吐血で呼吸を止めさせないことが目的。
- 仰向けから、横向きに寝かせます。
- 上側にきた方の手を顎から顔の下に入れます。
※左を下にした場合、右手の甲に顔を乗せます。
3)下あごを軽く前に出して、気道を確保し、息をしやすくします。
4)後ろに倒れないよう、上側の足を前に出して、膝を90度曲げておきます。
※左を下にした場合なら、右足を曲げます。
これが回復体位
人的余裕があれば、傍観をさせずに役割分担しましょう。役割は3つに大別できる。
<二次被害防止のため後続に注意喚起> <受傷者の保護・介護・励まし><救急車の誘導>
救急車(または救急ヘリ)到着までの10〜20分が頑張る時間(のはず)。
慌てずに二次被害を出さず、ケガした仲間を助けるための119番通報をしよう。