UD=ユニバーサルデザイン。障がいのあるなしに関わらずに誰にでも使いやすいデザインを意味します。 バリアフリーデザインとも表現できる。coppiが自転車の次に好きな乗り物、ヨットの世界でこの言葉を知ったのは四半世紀ほど前でした。
子育てvs趣味 懺悔すると、1990年代から2010年ごろまで、ヨットのセーリングにのめり込んだ。小さなディンギー(非動力)から始めてやがて21フィートのセーリングクルーザー(船外機付)で、子育ては妻任せで週末はずっと海でした。せめての罪滅ぼしに社会貢献。ヨットエイド・ジャパンというボランティア組織の広報担当となり、チェアマンの大塚勝氏の下で障害者セーリング用のヨットによる社会活動をニュースリリースに書いてマスコミに流し、反応があれば新聞やTV取材に対応。妻にはニュース番組にチラっと出たのを見咎められ、(家庭を省みずに)「外ヅラだけいいのね」と言われた。
現在は自分のヨットを手離してからは友人が船を出すときの手伝いをするクルーとか、ヨット教室のインストラクターで年に数回、セーリングをするだけ。それでも海に出て、エンジンを停めて風のパワーをセールで拾って走るのは無上の喜び! 自転車で脚がクルクルまわって流れるように走れている感覚と似ています。
でも10月12日にヨット仲間に誘われて久しぶりにディンギーのレースに参加。現地の豊洲ぐるり公園に着いて驚いた、ずらり並んだ艇体は「Hansa303 」でUDデザインの完璧に障がい者対応設計だった。
ハンザ303は、国際セーリング連盟の公式艇で、2人で乗る初心者向けディンギー。メインセールと巻取り式ジブセール、2つのセールで風を拾うためのロープ類は全て左右対称で手元に集まる。2人が横座りするハンモックシートの中央には舵を操るジョイスティック。アクセルとステアリングは座ったままでできるわけ。30kgのセンターボードを含めバラスト重量は62kgなので極めて安全なのが特徴ということだ。
(spec.)
全長:3.03m
横幅:1.35m
深さ:1.1m
重量:62kg(+キール30kg)
セール・プラン:メイン&セルフタッキングジブ
セール面積:5.8sqm
マスト:4.75m
耐重量:160kg
青空の下で水面のシワ(風があるとシワができる)を読んでセールを操るのは愉しい。静かな水面で首筋に微風を感じるとヤル気が沸き上がる! だが、残念ながらcoppiたちは1回戦予選落ち。
しかしその後、素晴らしい光景に出会えた。浮桟橋のポール取り付け部を利用して用いる「Hansa C クレーン」は、下肢が不自由な人を桟橋から艇に簡単に吊り上げて降ろせる。そこに電動車椅子が来たので、「サポートします」と声がけして移乗者の腰を抱いてハンモックシートの最前部に導いた。そっと艇を押し出せばその人は笑顔で、巧みに微風を捉えて広い水面に滑り出した。
安定したセーリングができるディンギー。そして設備、さらに小学生向けのヨット教室までして、江東区では(一般社法)セイラビリティ東京が毎月1回、豊洲ぐるり公園乗船場で体験会を開催している。
障がいを持つ人、幼い子ども、高齢者、誰でも1,000円で手軽に参加できるのでぜひ、ホームページを訪ねてください。
Sailability Tokyo
https://www.sailabilitytokyo.jp