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ビンテージ自転車のメカニックを生業とする柏木健太氏が、見事な車両を見せてくれました。

1939年頃のフランス車、AUTO MOTO製ランドナー軽量ハイカーシリーズ『POLYMULTIPLIÉE HOMME A.R.L42』。

塗装がオリジナル、パーツ類も揃っています。

この車両で柏木さんは今年のFERRO Mari e Montiでロングコースをトラブルなく走破。「古いけれど重量は軽いんです」と微笑む。実際に持ち上げてみると納得。

1939年という時代、フランスでは自転車が大衆の交通手段で、週末に「長距離走行を楽しむ人々」が多く存在したそうです。労働者・職人・学生・女性ライダー などがランドヌール(長距離自転車走行:ブルベ)に参加していました。

この頃、第二次世界大戦の影響で多くのイベントが中止。戦後(1946〜47年)には再びPBPなどのブルベが復活。しかし戦時中でも、戦火に怯えながらも精神の自由を抱く市民たちは、フランスを自由に旅したようです。柏木さんの「AUTO MOTO」は、そんな時代の一台です。

この車両は、「ルネ・エルス」や「アレックス・サンジェ」のようなハイブランドではないからこそ、注目に値する。スチール鋼管の軽量フレーム。変速は初期のサンプレックス、フロントは手でチェーンを掛け替える。

エアボリュームのある太いタイヤ。ライトはアセチレン灯からダイナモに移行した時代。注目は荷台。シートステーにキャリヤの脚が直付けされている。実に面白い。

カタログスペックを記す。

フレーム:A.R.L. 42 特殊ジグフレーム 3 レイノルズ 531 チューブ。Fobur製フォーク。塗装:エナメル。変速:Simplex・ 8速。車輪:ジュラルミン製リム/ジュラルミン製オイルバスハブ/スポーク/手縫いハーフバルーンタイヤ。ブレーキ:Jeay Grand Sportジュラルミン製。 ハンドル部:PIVO ジュラルミン製。サドル部:皮革・ジュラルミンベース。キャリヤ:直付け。重量(木製工具箱を除く実測)11.8kg

 

トップチューブの下にある木製の工作物は、柏木さん自作の工具入れ!

実は柏木さん、オールドMTBミーティングの主催者でもあられる。

泥除け前後に三つ葉マークが成形されて着色。細部に魂は宿る。

1939年POLYMULTIPLIÉE HOMMEは、歴史的には近代ランドヌール文化の黄金期の終着点に位置している。それがちゃんと動態保存されて走っている。

トレビアン!!

Post Author: coppi