Site Loader

細いフレームチューブの接合部に惹かれます。あなたもそうでしょ。

ラグレスフレームも美しいけれど、ラグドフレームはもっと興味深い。

1960年代にランドナーぞっこんだったサイクリング好き世代は、ラグ付きフレームの方が好きな傾向にある。ロードレーサーはシンプルなイタリアンカットラグ、ランドナーは装飾的なコンチネンタルカットラグと相場が決まっていた。

ラグはその形状によって接合部にかかる応力を分散させる。クラシカルな雰囲気になり、軽量化のためにラグは厚みを削がれる。だから薄く削られたそのフォルムには目が離せない。手作業でヤスリがけすることに価値がある。わざと透明感ある塗装でヤスリ跡を見せる手法もある。ラグは応力分散という機能だけでなく、装飾的な価値がある。

スチールフレームの溶接はロウ材を用いた低温溶接。腕自慢の職人なら余分な加熱時間をかけずに仕事ができる。だから素材の劣化も抑えられる。

きれいに削られたラグ。それを鮮明にするにはメッキやペイントで強調する装飾的手法もある。ラグとフレームの境を面相筆でゴールドに塗るのも伝統的手法だ。メッキや塗料はその分だけ少し重くなる。ストレートにフレーム同色に塗るのがシンプル。

装飾的なスチールフレーム作りは21世紀になり新たなシーンに入った。2004年に『NAHBS』(北米ハンドメイドショー)が、2011年にイギリスでオーダーメイド自転車の展示コンテスト『Besporkd』が始まり、20世紀のルネエルスなどはリスペクトの象徴的存在に昇華した。

ヴィンテージ自転車の祭典サイクリングイベント・コンテストである『Eroica』は世界中に拡散した。

スポーツバイクの世界標準は今やカーボンバイク。スチール素材の細いフレームはファッションに敏感な人たちのアイテムになった。

それでも長い時間を走るサイクリストにはスチールフレーム独特のしなやかな乗り心地を愛する人もいる。違いの分かる人たちだ。

あなたもそうでしょ。

Post Author: coppi