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スポーツ省が日本にできたとき、期待しました。サイクリング普及をする団体、日本には大別して2つあります。これが1つに統括されるかと‥‥。

サイクリングの魅了は多面的です。1つの見方に隔たってはバランスが悪い。子供と近所を自転車散歩したり、通勤に利用したり、健康のために運動する手段としての日常的サイクリングの取り組み。その一方、オリンピック・パラリンピックで金メダルを狙う自転車競技選手の育成・強化の取り組み。両極端の活動を、フランスやイギリスは上手にやってきました。さすが、サイクリング先進国。

イギリスの『BRITISH CYCLING』ホームページを訪問すると一目瞭然、トップページにある競技種目別のアイコンは「Road」と「Dirt」と「Track」の3つ。「L’ets Ride」はスクールやサイクリングコースなどをカバー、「Get Involved」は子供、女性、クラブのための情報やボランティアを志す人向けの参加案内、「Membership」は会員登録情報や質問。アイコンから進めばノウハウを学んだり、ブログで個別分野の興味深い話題に触れたりできる。さすが!

https://www.britishcycling.org.uk

日本の場合はサイクリング団体が2つ。公益財団法人日本サイクリング協会と、公益財団法人日本自転車競技連盟がある。前者はサイクルツーリング寄りの活動が主で、後者はレース寄りの活動を主として誕生した団体。それぞれが異なるルートで補助金を得て非営利的な動きをしていますが、なぜか1つにまとまらない。悩ましい。

『AUS CYCLING』

前置きが長くなったがオーストラリアも、フランスやイギリスのように自転車団体の組織変革がなされ『AUS CYCLING』に統合された。昨年10月にアナウンスされました。それまでレースを統括していた『Cycling Australia』のホームページはもう停止。1世紀前から存在していた組織の構造、戦略、ガバナンスの劇的な見直しが行われ、単一メンバー管理の国家組織に統合されたのです。

整理するとサイクリング(自転車競技)団体は3つの全国組織(NSO)に大別されていた。最大組織は「サイクリングオーストラリア」、並列に「BMXオーストラリア」と「マウンテンバイクオーストラリア」(MTBA)があった。それが自転車競技以外の要素も含む自転車スポーツの統括組織『AUS CYCLING』になった訳。

理解の一助としてオーストラリアのブリスベーンに一昨年まで留学していた田中彩佳さんからのコメント、「私がNPO Bicycle Queensland(自転車安全教室、自転車通勤・通学推進、ファンライドイベント主催などをする団体)でインターンをしていたのは競技を扱うCycling Queenslandとはまったくの別組織でした」。そう、オーストラリアには地域や活動の方向性が異なる組織が19もあったのです。

細分化されていた主な組織とは、<2歳から10代前半の子供たちがモトクロスヘルメットと手袋を着用し、挑戦的なジャンプでレースを楽しむBMX>や、<毎週ロードバイクで個人またはグループで走ったりレースしたりする何千人ものロード愛好者。さらに、クロスカントリーバイクで山道を走り、岩やでこぼこ道を乗り越えて山を駆け下るマウンテンバイクライダー>もいれば、<トラック競技場でタイムを詰めるシリアスな人>もいれば、<アクロバチックなスキルを追求するスロープスタイルのマウンテンバイカー>、さらに<観客に訴えるライドで競うフリースタイルBMX>など多様性・個別性がある。

そういう組織を統合する新しい指導者層(ボード)には、「バランスのいい人選が必要。それはスポーツの草の根レベルを理解している人と、専門分野を深く理解している人だ」とスティーブ・ドレイク氏(サイクリングオーストラリアCEO)はいう。

オーストラリアのサイクリング界においてガバナンス改革に過去20年取り組んできたダンカン・マレー氏は現状について、「COVID-19のパンデミックが発生して以来、自転車の販売と参加が急増。343万人以上のオーストラリア人が少なくとも週に1回自転車に乗っていますが、これまで19の別々なサイクリング組織の合計会員数はわずか55,000人でした。合併により会員サービスに再投資できる管理コストの節約が実現し、統一的な政府への働きかけなどができます。最終的にオーストラリアのパフォーマンスが国際的に向上するでしょう」と期待を語る。うらやましい。

  • 8つのスポンサーが新生AUS CYCLINGを支えている

https://www.auscycling.org.au

日本がサイクリング先進国のように自転車組織をまとめて健康促進(積極的健康指導など)、自転車関連政策(自転車道路促進など)、サイクリング(ツーリングからレースまで)をカバーできるようになるためにはどんな変革が必要なのでしょうか。

ともあれ、オーストラリア好きな田中彩佳さんからは「ブリスベンは2032年五輪の開催地にほぼ確定ですし、それに向けても大きな後押しになりそうですね!」との声。 Bon voyage!

 

Post Author: coppi