古い自転車仲間からもらった電話。
「元小学校の校庭でスクールやっていますよね。パンプトラックを作ったんだけど、置かせてもらえない?」
それが“コジパンプ”との出会いだった。
大工が本職の小島正治さん謹製、木でつくられているパンプ。
木肌が美しく、カーブが滑らかで、艶っぽい。
古い仲間の渡辺安良さん、その仲間の小島さんは、「まちさが里山サイクリングの会」で里山での自転車普及活動、マナー啓蒙&スキル向上に尽力。子どもや高齢者へのサイクリング指導に軸足をおくcoppiとは、同じ志がある。
コジパンプは、ストレートのコブの背が抑制されたデザイン。これは小さな子供車でも不安なく走れるようにとの配慮。カーブのバームにつけられた傾斜も同様な心遣い。パンプはペダルを踏まずにコブの上り降りで荷重をうまく使うと加速度が増す。それはブランコを漕ぐのと同じようなイメージ。
子どもがうまく走れずにペダルを踏んだとしても、コジパンプならコブの背でペダルがゲシって(接触して勢いを失う)バランスを崩す恐れはない。小島さんのつくる木製アイテムは、「バイクロア」の御用達でもある。子どもやビギナーが恐怖感なく遊べるデザイン。それが特徴だ。
例えば、この段差越えアイテム。これは10月29日に栃木・宇都宮で開催された「SBAAオフロードバイクサミット」会場に設置されたもので、パレットで構築されたのはマウンテンバイク協会のもの。もうひとつはコジパンプ段差越えの低く広いパレット。どちらも、ライディングスキルの抜重を学ぶ目的だが、前者は大人向け、後者は子どもやビギナーに怖さを抱かせない。
SBAAオフロードバイクサミットには、7日前に韓国で開催されたアジア選手権ジュニア女子で銅メダル獲得を果たした中島瞳選手が、子どもの指導に駆けつけてくれた。
写真提供:まちさが里山サイクリングの会
小島さんの観点はあくまでやさしい。難易度をやさしくするだけでない。
コジパンプを設置するときに、風車のアイテムを添える。カラフルでかわいい。近づいてみたくなる。それがパンプに挑戦する動機付けの一翼になる。
小島さんのコジパンプは、ハードだけでなくソフト面でもさらに熟成していくだろう。それを近くで見て、共有できることは幸せだ。