Site Loader

1950年代までの製品カタログを見ると、写真よりイラストが圧倒的でした。

なぜでしょうか? 印刷には製版コストがかかったという経済面もあるでしょう。でもイラストは、必要な部分をしっかり表現して不要な部分は省ける。訴求します。

上のイラストは明治30年(1897年)のデートン。銀座の双輪商会は当時250円の値段を付けましたがよく売れたそうで、レースにも活躍。イラストはディテールが想像できるし、シャフトドライブ機構であることがストレートに伝わってきます。

団塊の世代が青春だったころは広告写真が勢いづいてきましたが、スポーツ自転車のカタログにはまだイラストが幅を聞かせていました。1970年代まではペン画イラストがあったのは、ダニエル・ルブール(ルネ・エルスやアレックス・サンジュールのカタログを描いたイラストレター)の影響ですね! 

D.ルブールは1930年にモト・ルビュー(MOTO REVUE)紙のデッサン室チーフ兼編集秘書としてキャリヤを始め、1946年にル・シクロ(LE CYCLE)誌でイラストレター兼編者としてさまざまな自転車のトレンドを描いていきました。

イラストにすることで、表現したい一面だけ強調・演出できる。メカニズムの要点が分かる。イラストの美点です。

自転車だけでなく、昔の通販カタログを見れば家具、食器、ファッション、さまざまな製品はイラストでした。自転車ではイギリスの「RON KITCHING’S HAND BOOK」が有名ですね。

D.ルブール、見るものにイマジネーションを膨らませる魔法の持ち主。

Post Author: coppi