ちょっと前はこんな言い方があった。「東京タワーに東京の人はのぼらない」
地元の名所って、ローカルではスルーされるのが通例。でも、南房総で生活をするにあたり、友人が遊びにきたときに地元の案内をちゃんとしたい。そう思うのです。だから地元の名所や歴史を、足元から学ぼうと考えました。
最初は南房総の最高峰、“富山” (349.5m)です。TOMISANN、と読む。
南房総を開拓した「天富命(アマノトミノミコト)」がこの山頂で指揮したことからトミサン、と名付けられたそう。一説には、天富命を埋葬した地。
桜の季節に、自分の小屋から朝飯前に出かけて1時間で山頂(北峰)に到着(WC有)。富山はふたつの峰があります。このタイプの山容は、双峰峰(soujihou)というそうです。
言い伝えをご紹介。
大昔の話さぁ。 大太法師という大きなひとが、上総(kazusa)のほうから安房(awa)に向かって、のっしのっしと歩いてきた。 大太法師は砂で汚れた足を洗おうと、岩井の浜辺に立ち寄ったけれど、「ああ、眠くなった」と、3km離れた富山を枕に、大いびきをかいて眠ってしまった。21日間も眠りつづけようやく目を覚ましたら、大勢の村人が足元で何かを相談していた。 どんな相談かは大太法師には聞こえなかった。
やがて、村人たちは長い梯子をもってくると、大きな足の裏に立てかけて、いっぱい付いている砂を落とし始めた。 大太法師は足裏がくすぐったくて大笑いしながら、むっくり起き上がった。村人たちは、雲まで届いている大太法師の姿に驚き、いつまでも見上げていたとさ。
そのときから、枕にした富山は中が凹んで峰が北と南に分かれ、岩井海岸は、大太法師の足の砂で遠浅になったのさ。はぁ、お・し・ま・い。
南峰からの眺望は素晴らしいですよ! 北峰の向こうは東京湾の出口で太平洋です。快晴なら伊豆諸島が望め、大島(約60.7km)、新島(約98.6km)、式根島((約105.7km)、神津島(120.7km)、伊豆半島・天城山(約84.4km)、富士山(約108.6m)が一望できる。
北峰からは尾根道で古い社がある南峰までは数分のライド。ハイカーがいる時間帯では押し歩きがマナーですね。そのまま海の方向に進んでみたら急な下り階段が延々と続きました。失敗。 富山登山道の麓にある「福満寺」、または「道の駅 富楽里とみやま」にはトイレがあります。
富山の近くには、伊予ヶ岳(336m)があります。この麓にはサイクリング拠点にオススメの施設「HEGRI HUB」がある。次回はここを紹介予定。