9月21日のヤフーニュースに、日本のエアコンで現在トップブランドであるダイキンが下した素晴らしい決断が報じられていた。
見出しはこうだ。<「中国以外にも生産拠点を」ダイキン、部品調達先に要請へ。ロックダウンの供給途絶リスクなど考慮>
このニュースに触れて改めてcoppiは、ニクソンショックを緒担とした世界経済の激震で日本の自転車メーカー各社が生産拠点を海外移転した負の記憶が頭に浮かんだ。大事にすべきノウハウも海外に与えてしまい、その結果日本の自転車産業が空洞化したことを。
当時の自転車産業が陥ったのは経済優先の損得勘定によるリスク回避で、ダイキンはロックダウンによるリスク回避という観点が違う。とはいえ、大事にすべきポイントは無防備に海外に譲渡するのでなく、国内に保持するという見識が素晴らしい。
手放してしまうと取り戻せない。自転車でそういったものは、オリジナルで保存された意匠、塗装ですね。その自転車が乗り手と紡いだ記録・記憶も大事に守り語り継がれてほしい。
20世紀ならcoppi的にはグレアムオブリーが90年代に2回アワーレコード達成をした自作自転車と、中野浩一の世界選プロスプリント十連覇のナガサワは、語り継ぎたい対象(個人的趣向が強過ぎですね)。この2台に共通するのは、ハンドビルド。作る人が乗る人の求める性能を実現するためにその技術と知識を注いだハンドビルトの自転車です。
ペーター・サガンやジュリアン・アラフィリップの使う最新カーボンバイクは、いずれも素晴らしいプロダクツでしょうが、あまり魅了されません。マスプロダクツの自転車は手放しても簡単に買い戻せるのでしょうしね。
手放してはダメな大事なモノやコト、ありますね。