クロと名づけた雑種の日本犬を飼っていたことがある。
体重が25kg以上あった。
荒川サイクリングロード沿いの茶店で子犬がたくさん産まれと聞き、小学校低学年の娘と貰うために出向き、彼女が選んだのがクロ。娘は長じて家を出たがクロは残って天寿を全うし、僕はしばらく落ち込んで二度と犬は飼いたくないと思った。
その娘がいまは僕の孫と房総半島に住む。今日、孫とそのガールフレンドとポタリングに出かけたら海沿いの公園でドッグレースに遭遇。大きい犬が柵で囲まれたコースを凄い勢いで駆ける。映像では見たことがあったがリアルは初めて。美しい!
レースは「ルアーレーシング」で、釣りの電動リールのような機械を用いてコース際に細いロープを巡らしたルアー(白いテープの疑似餌みたいな形状)を移動させる。犬はルアーを追いかけるという仕組みだ。
タイムは電光掲示板で表示される。
50匹ほどの、バタ臭いいかにも猟犬風なデカイ犬が勢ぞろい。贅肉なしのアスリート犬という雰囲気だ。「今日のコースは300mで、優勝タイムは20秒くらい」と飼い主のひとりが教えてくれた。
なんと、1kmタイムトライアルなら1分ひと桁台の速さじゃないの!! 自転車のトラックレースに置き換えて考え、その速さに感服する。
大きな犬が飼い主とともに芝生やテントの入り口で日向ぼっこをしつつ、出走待ちをしていた。ドッグレースは、優雅な趣味だ。今日の公園は気温16℃シーほどあるポカポカ陽気。「暑さバテかしら」と30秒オーバーのタイムでゴールした犬の飼い主さん。速かろうが遅かろうがゴールした犬はルアーに噛みついて離れない場合がある。その対処スキルは、飼い主が後ろ脚の付け根あたりをぐっと握る。すると犬がルアーを離していた。
帰宅してからネットで調べると、ドッグレースには犬ぞり、ルアーレーシング(ルアーコーシングとも)、この2種目があり、愛犬と飼い主は各地のレースに遠征して休日を楽しむそうだ。英連邦やアメリカでは、グレイトハウンド種によるギャンブル目的のレースもある。知らなかったなぁ。グレイトハウンド種は大きいと72km/hで走れるとも。面白そうだけれど、いまさら大型犬を毎日の散歩をさせる体力・気力が僕にはないかも。でも、ステキな光景だった。