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『東京自転車歴史フォーラム』は12月4日に東京・港区の「物流博物館」で開催、COVID-19 感染拡大防止策のためにリアル聴講10人ですが満員御礼!(ホントは少し超過‥‥)。二十代の人たちも来てくれたのはうれしかった。

発表者ふたりの研究は以下のとおりです。

第一部(50 分) 井桜直美さん(日本カメラ博物館学芸員)「写真に写された自転車」。(Japan‘s first boneshaker)

現存する写真をもとに、明治時代の自転車の姿を紹介・解説。1877年から1881年に駐日イタリア王国全権公使であったラッファエーレ・ウリッセ・バラボー二伯爵が遺した1,268枚の写真に、なんと時代を特定できる自転車の写真が1枚だけあった。それは明治6(1873)年〜明治12年(1879)に芝・増上寺を撮影したフレーム内に佇む三輪自転車。

他にも井桜さんは、当時の錦絵などを並べて自転車のある風景を紹介してくれました。当時の写真は静止しないとブレるので動きのある自転車はほとんどない。自転車が登場するようになるのは明治20年代に写真館で人物撮影する小道具としてだという。学芸員だけに井桜さんの視点・分析力は筋金入りで鋭い。

第二部(50 分) はbaruさんによる「自転車による東京大阪間ノンストップチャレンジの歴史と考察」。(History and consideration of non-stop challenge between Tokyo and Osaka by bicycle)

1960 年代に隆盛をみた東京大阪タイムトライアル期と、21 世紀になり隆盛をみた東京大阪キャノンデール期を対比させ、相違点やルートの変遷で時代変遷を浮き彫りにした。

前期はチームのサポートが前提で主に競技経験者の挑戦であり、後期はデジタルガジェットを活用した個人のホビーサイクリストが挑戦。前後期には24年間の時間的空白がある。東京大阪を24時間で駆け抜ける英雄譚の底流にある熱き心は同じでも、時代の気分と機材がガラリと異なるのがおもしろい。

最後に、東京自転車歴史フォーラム主宰の梶原利夫さんによる「日本の自転車史研究の問題点」が語られた。

古い事物を正しく調べ上げる、古い史料を個人の努力で発見するのは困難がつきまとう。そこでフォーラムを作り、潜在研究者の掘り起こし、ディスカッションを通して自転車史研究の活性化を推進したいと表明。

後進の研究者への情報共有も大事。近日中に当日の模様をweb上に動画配信するとともに、発表が一定数まとまったときに冊子をつくり公の機関に寄贈します。(事務局:バックス事務所)

Post Author: coppi