情熱があれば自転車は作れます。
自転車は大企業だけが作るのではありません。
特にスポーツサイクルは、職人の手作りフレームが原点。
そのフレームに部品をアッセンブルして、オリジナルブランドを名乗る。
引退した有名選手のブランドで有名なのは、ピナレロが筆頭。
お店でもブランドを作ってオリジナルを打ち出せます。
「LA JOIE DE VIRE」は、1960年代の有力ブランド、山王スポーツのカタログや広告で用いられたキャッチコピー。横に-生きている喜び 優勝はいつも山王エミネンザ-とサブコピーが添えられました。このコピーが好きです。
画像は「M.C.C.ニュース第600号・高橋長敏さん追悼号」より
高橋長敏さんは、東京タワー近くでサイクルショップ「SANNOW SPORTS」を経営し海外から部品輸入をして販売する卸業をする傍ら、クラブを抱えて選手育成をし、海外の自転車競技の情報を伝える活動もされた情熱的な人物。
古い自転車専門誌には高橋さんの記事がたくさんあり、レースのスキルやコーチングに関する著書も残しました。高橋さんの自転車愛は、所属クラブのメンバーはもちろん、たくさんの読者に影響を与えました。自転車が “好き”という熱が伝わってきたからです。
レースに限った話じゃありません。
自転車に乗る、その行為は母親と子供の絆にどこか似ている。
絆はそう簡単に断ち切れるものではありません。
手足の指先がちぎれるほど寒い冬も、滝のように汗が流れる暑い夏も、どんなに辛い季節でも自転車に乗りたい。
坂道でハァハァと息が上がる。心臓がドクドクと早鐘を打つ。
下り坂で風景が後ろに飛び去る。上体を小さくしてスピードに乗る。
疲労で立ち上がれない苦しさのなかでも自転車なら大丈夫。
ハンドルとサドルに支えられてペダルを回して走り続けられるから。
最近、自転車はマーケットが萎み、ロードバイク人気はかげり、コロナ禍でイベントもほとんどない。客観的にみれば死に体の自転車界。
でも、どんなにいたましい状況でも子供が母を慕うように自転車に乗る喜びを知ったなら辛くても苦しくても“やっぱり好き”の気持ちは残る。情熱の火は消えません。