遺品の山王・ミキストを譲り受けた。ホコリを払い、ちょっと磨き、注油。サドルを女性用から細身に交換し、籐カゴをつけた。さて、出かけてみるか。
小春日和の荒川サイクリングロードまで来て、あれ〜? 出かけに3bar入れたのにタイヤの潰れがひどい…。予感はあった。ウッズバルブの弁体を覆う虫ゴムが劣化していたからだ。それに、周期的に路面からの突き上げ感もある。
こうなると、財布とスマートフォンだけで来たので不安が湧きあがる。
さっきまで道端の馬頭観音像をじっくり観察し、イチョウの落ち葉をつかんでやれと悠長に遊んでいた余裕はどこへやら、浮かぶ雲さえ黒ずんで見えてくる。
いつエアが抜けるか、押して帰るのはイヤだ、ハラハラドキドキしながら知り合いのサイクルショップに到着。虫ゴムの劣化を知っていたのに遠出しかけた愚かさが恥ずかしい。店主に事情を話して修理を依頼。
パッと見るや、「ビードが嵌っていませんね。空気が長いこと抜けたままでした?」と、ズバリ喝破される。恐れ入りました。タイヤをホイールから外すと、そもそもリムテープが捩れていたのが判明。さらに、ロックナットが固着気味だった。超恥ずかしい。
店主曰く、「これは1990年代の山王でしょうかね」と。そうかもしれない。ケミカル棚に手を伸ばしゴソゴソ探し出したる年代物のビードワックス。ウエスにワックスを染み込ませてリムのビード部に塗るや、コンプレッサーでチューブにエアを充填。「破裂するかもしれません、ズレて嵌っていたのでちょっとクセがついてる」と説明しつつ段階を踏んで膨らまし、手のひらで揉んで、それを繰り返す。プロの技だ。
修理に要した時間は30分程度、見事に前後輪ともタイヤがリムに収まった。ありがたや、ありがたや。タイヤサイドを確認すると、ビードに埋もれていた部分が黒ずんでいた。言い訳になるが、自分でも何度もエアを入れて抜いて入れて抜いて嵌め直したが、ビードは上がらなかった。嗚呼、持つべきは信頼できるサイクルショップ!!
それにしても、ヌケヌケ、お粗末でした。