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1950年代、女子競輪として活躍した西本貴美子さんが、2023年に本を出版。『94歳、自撮りおばあちゃんのやりたい放題ひとり暮らし』西本貴美子著 宝島社刊(2023年)で、自転車を使ってのデジタルアート作品も掲載。

女子競輪は1948年11月に小倉競輪場でのオープンレースとして初開催。翌年に第2回全国走覇競輪で正式競輪となり、女子選手の大量募集・養成が始まった。キミちゃんこと西本貴美子さんは22歳で美容師から競輪選手に転身。弟2人がすでに競輪選手として自転車を担ぎ全国競輪場を転戦する旅していた姿が羨ましくて、競輪学校に入学した。旧姓は白石。白石三姉弟として当時の競輪ファンには知られた存在だった。

画像引用©️『94歳、自撮りおばあちゃんやりたい放題のひとり暮らし』 43ページ

選手デビューは1950年、結婚しての引退は1955年。

女子競輪の優勝賞金は多いときで4万円。当時の大卒初任給が9000円という。

全業主婦になってからのエピソード。税務署勤務のご主人から初めて渡された月給袋が薄かったので、「これは私のお小遣いなんだ」と思ってさっさと全部使ったという。選手らしい金銭感覚。それでも家計のやりくりにつとめ、子ども3人を育て上げた良妻賢母。

ときは流れ、息子のひとりが写真の道に進み熊本で“遊美塾”という写真塾を始めたことが契機になり、72歳で初めてカメラに触れ、74歳からはパソコンもスタート。自撮り写真をPhotoshopで加工しての作品作りに挑戦。亡くなった優しいご主人もカメラが趣味だったが、静物中心の作風でキミちゃんとは180度異なる。

2011年、デジタルアート作品を制作して10年ほどした頃に初の個展開催。当時、肺がんで入院中のご主人は看病に来るキミちゃんに、「作品を作りなさい」と応援してくれた。その後、ひとり暮らしになったキミちゃんを心配して遊美塾の仲間たちが遊びに来てくれるようになった。そうして作品は紡がれていった。

『94歳、自撮りおばあちゃんのやりたい放題ひとり暮らし』は2冊目で、その前に『ひとりじゃなかよ』(熊本日日新聞社刊)がある。

自転車が得意なキミちゃん、作品にはウイリーしたり、スケーターでダッシュして車のドライバーを仰天させたり、面白い絵柄が豊富。ぜひ、検索して愉快な作品群に出会ってください!

それにしても、彼女のトラックレーサー、フォークの曲が深い。直進安定性が良さそうですね。

Post Author: coppi