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「南房総の魅力を独り占めしないで、もっとたくさんの人に楽しんでもらいたい!」と流暢な日本語でイベント開催動機を教えてくれたのは主催者のマルコ・ファバッロさん。

日本の大学を卒業して以来、イタリアと日本の架け橋になる仕事を続けてきたマルコさんは、子供のころからサイクリング好き。房総半島の道に詳しい友人に連れられて走るうちに、温暖な気候と素朴な人たちの南房総に惚れ込んだ。

大会名のFERRO Mari e Montiは、イタリア語で「鉄(Ferro)」「海(Mari)」「山(Monti)」。古き佳き時代のサイクリングスタイルを尊重しながら南房総の美しい自然のなかをイタリア的に自由な雰囲気で楽しもうとの趣旨。そう、イタリア発祥の世界的ヴィンテージ自転車イベント「EROICA」と方向性は同じだけれどもっと堅苦しくない。

青空と潮風が気持ちいい10月25日(日)、会場の鋸山美術館駐車場には年代別クラスで参加者が並んだ。明治・大正、昭和、平成・礼和に作られた自転車にヴィンテージファッションを着たオーナーたち。鋸山の石切場で働いていた人の法被を着た美術館館長が、道中の無事を祈願して火打ち石を叩き、スタートが切られた。

 

                  石灰質の岩盤にくり抜かれた石室にお地蔵さま

2015年に初開催したときは80人に満たない参加者が6回目の今回は121人に増えた。

「みなさん、コロナ禍でイベント開催が少ないから飢えていたのでしょうね。2週前までは半分くらいのエントリーが締め切り前に倍増。三密を避けるために慎重になっていたのでしょうが、やるなら参加して応援してやろうと考えてくれたのかも」とマルコさん。

だが、例年は前夜祭があり、歌や文化的な催しで盛り上がっていたがそれを中止。もちろん三密を避けるためだ。しかし、前日から現地入りするリピーターが多く、個別に旧交を温めて再会を楽しんだ模様だ。

                        ヴィットリアのシングルプーリー式(1940年代)

サイクリングコースは3つで、距離はショート50km(獲得標高755m)、ミドルは76km(獲得標高1300m)、ロングは108km(獲得標高1500m)。いずれもランチは海に近い森のなかにあるカフェでの着席スタイル。地産地消のランチボックスは、五穀米、鹿肉のソーセージ、鴨川のレンコン、自家製枝豆、君津の卵。カフェのご主人は高校時代に自転車競技部に所属してキアプッチの大ファンだそう。

coppiはショートコースの伴走スタッフとして最後尾をマークしながらサイクリングの流れを管理。分かれ道では先行して案内、休憩地点では記念写真のカメラマンに変身。サポートしながら秋の素敵な一日を満喫。

最後尾を走る親子は、お父さんが常に兄妹を見守りながらイーブンペースでコースをたどっていた。ひたむきに走るお嬢さんに声をかけると、「11歳です」と元気な声。中学生のお兄さんも初参加。2020年のフェッロ・マリ・エ・モンティ。眩ゆい陽光、爽やかな風、温かな人の触れ合いに彩られたイベントだった。

https://www.ciclistaingiappone.jp

 

Post Author: coppi