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今回のJBT、上位3台はじつに新鮮なスタイルと情熱があった! 低迷する日本の自転車シーンに衝撃を与えるインパクトは充分。惜しむらくは、この大会自体の知名度の低さだ。

“Japan Bike Technique 2022”は6月11日〜12日に開催された。コロナ禍で3年ぶりの会場は長野・高山村の森林スポーツ公園YOU游ランドがスタート&フィニッシュ。距離は約80kmだが獲得標高が2,300mにもなるうえに、砂利道を含むダートが多い。

大会の趣旨は、<日本を走る理想の旅自転車を作る>(自転車を使った旅を愉しむ)カスタム自転車制作によるコンテストで、ポイントは以下の4つ。

  • 自転車作りの技を競う。
  • 実走行により性能・実用性・耐久性を競う。
  • 自転車を使った旅のアイディアを提案。
  • e-BIKEカテゴリーを新設し-BIKEを使った輪行旅の可能性を模索。

土曜に「バイクプレゼンテーション」。日曜はまだ暗い朝4時スタートの「実走テスト=レース」、フィニッシュ後に「輪行実演審査」。テスト走行中に指定場所で旅の情緒ある記念撮影をしてFacebookに写真をアップして“いいね”を稼ぐとそれも評価ポイントに加算される。

 

優勝 手づくりチタン!

1位で優勝した「KAWAKAMI・TITANIUM」は、40年来の自転車マニアによる自作であり実走も本人という孤軍奮闘の川上伸一さん。

川上さんのトラスフレームは自身でアルゴン溶接。日本ソーラー・人力ボート協会の大会にも1993年から自作ボートで参加している。JBT2022ではレース序盤では慎重に走って遅かったが徐々に挽回。

準優勝 さらに洗練! テンションシルク

2位の荒井正さんは2019年の前回、最軽量賞に輝いたテンションシルクを洗練させて参加。この人も自ら走った。最年長ながらその情熱は超アツイ!! レースでは低体温症に陥ったが搭載していた輪行袋兼用ポンチョを着て完走を果たしている。

photo●横沢英剛

ビルダー賞 岐阜の粋人 

3位の服部伸一さんは自宅であらゆる材質素材を駆使して自作するビルダーであり、かつ自ら走る。参考展示した愛用の木製(ドライジーネと同様の木材:タモを採用)フレームは「峠でコーヒーを沸かすためのお気に入り」とのたまう。参戦車はカーボンバイク。「勝つための要素を徹底追求して挑みました」と言うだけに、輪行・電装・積載・軽量のJBT要求課題を見事に結実。泥除けにFINAL CHALLENGE EDITIONと意気込みをシールで貼っていたが、次回はぜひ優勝トロフィーを狙ってほしい。

ライドを終えて疲労困憊。/ 展示車は野球のバットで用いられる木材タモを採用

注目すべきはビルダーと作品を紹介。

 

心拍センサーで出力管理

意欲奨励賞のHyozen Plant。前回はまだサイクルデザインスクール学生だった若手で、ビルダーは荒井峻太郎さん、ライダーは野村玄さんのコンビ。野村さんが手掛けたe-BIKEの出力コントロールは心拍センサーを採用している。「誰でも手に入りやすい資材とオープンソースでプロブラム」を組んだ。レースではモーターがオーバーヒート気味で苦戦。

老後に欲しいから作った!

JBT審査員賞はグランボアebike。この大会の提唱者である土屋邦夫さんが自ら作り走った。「あと5年で70歳。そのとき欲しいのがコレ! 病気やケガからのリハビリに自転車乗りならebikeで健康回復をしてほしいです」との主張が高齢審査員たちの琴線にふれた。

朝4時前に準備に余念ない土屋さん。モーターはあらゆる誂え自転車に対応可能

ほかにも、輪行に特化した「戸田橋cycle works」、格段の進化を遂げて輪行を意識したリヤキャリヤを提案した「Panasonic」、カーサイクリングしないキャンピング車だからこそ輪行機能が必要と主張した「montson」、王道輪行ランドナーの「グランボア」、オーナーの注文に柔軟に応えるランドナーの「オオマエジムショ」の各車もおもしろかった。いろんな主張、いろんなカタチがあった。

次回のJBT、“旅の自転車”の通念・概念を一切すべて無に帰して、さらに21世紀の自転車の潮流に竿を刺す勢いある自転車コンテストになればステキだなぁ。

Post Author: coppi