スコットランド人のカークパトリック・マクミランは鍛冶屋で歯医者でもあった。26歳ごろから発明に取り組み1839年にレバーが自転車を推進させるマクミラン型(MACMILLAN)を作った。残念ながらマクミラン型ベロシペードは現存しないようだ。イラスト男性は短いチョッキと乗馬帽子でスポーティーに装っている。
前輪は32インチ、後輪は42.5インチで、ホイールベースは48インチ、車体は木製で27kgと重かった。発進では自転車を押して惰性をつけてから飛び乗ってレバー式ペダルを漕いだ。後輪駆動の自転車だ。
1842年、マクミランはダンフリースからグラスゴーの113kmを走る2日間の旅に出た。田舎道では子供たちは彼のあとを追いかけて遊んだが、帰路にグラスゴーのはずれで一人の少女を引き倒す事件を起こした。軽傷だったが自転車による史上初の交通事故で加害者となったマクミランはグラスゴーの法廷に出廷。判事は「公道で悪魔の機械に乗った」かどで5シリングの罰金刑を科した。
マクミランのレバー式駆動推進機構は、子供用の足踏み式自動車に現在でも使われている。
イラスト:「オランダの自転車風俗画」ニューサイクリング1966年Vol.4より引用(元資料:©️1949:Lemet.Hilversum.Holland)
参考文献:「50のアイテムで知る図説 自転車の歴史」原書房刊、「19世紀イギリス自転車事情」共和国刊