ブログ読者のみなさん、昨夜は富津市、君津市、木更津市あたりに宿泊されたでしょうか、美味しいものは食べられましたか? 2日目の今日はいかにも古墳らしい場所が多い。DAY2は、青堀駅南口の住宅地からスタートです。
Day2
Visit18(unable to visit)
『向原古墳』 MUKAIHARA
探せども分からず。
<DATA>富津市文化財ガイドブックによる(以下同じ)
円墳。墳丘径24m、周溝外径38m。*平成16年(2004)以降の宅地造成で消滅。
Visit19(unable to visit)
『新割古墳』 SHINWARI
探せども分からず。
<DATA>円墳。墳丘径35m、高さ4.5m、周溝外径50m以上。*宅地造成により消滅。
Visit20
『西谷古墳』 『西谷2号墳』 NISHIYA
この更地の奥が『西谷古墳』らしい。県道157号の二間塚交差点にあるコンビニ・ディレーヤマザキの裏手にある細い道を入った空き地。
「更地になっている奥が古墳らしいですよ。たまに市役所の人が草刈りに来ます。古墳と聞いたけれど名前は知らない」と、地元住人に確認できた。地図と照らし合わせると西谷古墳らしい。
しかし、古墳らしさは微塵もない。
<DATA>
円墳。
墳丘径28m、高さ2.5m、周溝外径43m。
Visit21(unable to visit)
『古山古墳』 『古山2号墳』 KOYAMA
探せども分からず。
<DATA>円墳。墳丘径29m、高さ2.5m、周溝を含めた径43m。*1968年建物建設のため消滅。
Visit22(unable to visit)
『八丁塚古墳』 HACHOUZUKZ
探せども分からず。
<DATA>円墳。墳丘径24m、高さ2.2m、周溝外径35m。
Visit23
『笹塚1号墳』 『笹塚2号墳』 SASAZUKA
畑の手入れをする人に声をかけたら親切に道に出て来て教えてくれた。
「たまたま知っていましたが、古墳は珍しくないし興味ない。私が耕している畑も元は古墳だったそうです」と明るく笑う。
県道157号の小糸川に架かる「人見大橋」の側にDOCOMOの鉄塔があり、その奥に2つの塚で構成される『笹塚古墳』がラクダのコブみたいに連なる。2つの塚の頂きには何かの神様を祀った小さな社が置かれている。歩いて登れる。
元々は9つの古墳で構成されていたが現存するのは2つ。
<DATA>
円墳。
1号墳(西)墳丘径21m、高さ2.8m、周溝外径31m。
2号墳(東)墳丘径20m、高さ3.0m、周溝外径26.4m。
Visit24
『稲荷塚古墳』 INARIZUKA
陣屋の二の丸だった場所に『稲荷塚古墳』は在ったが、第二次大戦後の昭和23年(1948)に新制中学校建設のために文部省から史跡仮認定を受けていたにもかかわらず未調査のまま墳丘は削られてしまった。
だが、当時たまたまこの地を訪れていた考古学者が、砂岩切石積みの石室や、人骨の出土を記録したという。
<DATA>
方墳。
墳丘辺長21.4m、周外溝38.8m。*消滅。
Visit25
『百目木古墳』 DOMEKI
単なるT字路。地図で推測した場所に『百目木古墳』の影も形もない。
近くの旧家を訪ねてみたが、「私が三代目で明治時代から住んでいるけれど、百目木古墳は聞いたこともないです。古墳がお好きなんですか? 住人にすれば古墳があるために家の建て替えが自由にできず、山を崩すのも規制があって大変なんですけどね…」との愚痴を聞かされてしまった。
<DATA>
不明。(記載なし)
Visit26
『内裏塚古墳』 DAIRIZUKA
JR線路を背にして県道157号を300mほど進むと左手に現れる『内裏塚古墳』は、県道沿いに在るのでそこからのアクセスもできるが、裏手に回り込んでスロープを上るのがオススメ。グラベルやMTBなら行けるだろう。
ただし、下りは路面が整備されて見通しもいいので乗れるだろうが、徒歩の人に配慮して押して降るのがマナー。ま、上りも下りもライド可能な唯一の古墳だ。
明らかに2つの墳丘が連なっている前方後円墳。規模も大きい。階段も含めると三方向からアクセスできる。
近くには飲食店やコンビニもある。「JR青堀駅」からもそう遠くない。
<DATA>
前方後円墳。国指定史跡。南関東地方最大。
墳丘長144m、後円部の径80m、高さ13m、前方部の幅90m、高さ11.5m。
閑話休題
『富津市公民館』は、古墳群のミニ博物館。出土した品物や、貴重な史料が展示されている。そこにあった<内裏塚古墳の航空写真>2枚を紹介。写真説明にあるように1つは昭和30年代、1つは昭和40年代。青堀駅から海側に行くと運河沿いに公園が続いてある。自転車なら公園内の道を富津岬方面に辿るのがオススメです。
Visit27
『野々間古墳』 NONOMA
探せども分からず。
<DATA>方墳。墳丘辺長19.5m、内周外溝33.5m、外周溝外辺59.5m。
Visit28
『九条塚古墳』 KUJYO
内裏塚古墳と同様に県道157号に面して立地がよく、典型的な前方後円墳のフォルム。ヤマト運輸の営業所裏に古墳へアクセスする小径への案内標識があるので分かりやすい。説明看板もある。
ドロヨケ付きのスポルテーフで小径を押し上げていたらスポークに枯れ枝が噛んでちょっと困った(笑)。
2つのピークを散策できるが、自転車だとアクセス道は1つで往復となる。後円墳の背後にも下れるが湿地なので自転車を担ぐことになるからやめたほうがいい。
<DATA>
前方後円墳。
墳丘長103m、後円部の径57m、後円部高さ7.0m、前方部の幅74m、前円部高さ7.9m。
振り返り
理想はサスティナブルな古墳群
29カ所の古墳ポイントを巡っての締めくくりに、古墳群からの出土品が展示されている富津市公民館に行ってみた。
目にとまったのは壁面にあった「内裏塚古墳群の保存整備について」と題したメッセージで、小沢洋さんが2021年に記した。
要点は、<昭和40年代から古墳群周辺に開発が及ぶようになり、行政も古墳群を公園にする保存を計画したがバブルの地価高騰などで頓挫。しかし平成14年(2002)に内裏塚古墳が国指定になったのを契機に補助金でまた保存を目指した。だが、市街地に古墳が離れて分布するので、街づくりと一体になった保存整備は難しい。昭和30年代以前の山林・農地として利用・保存されていた頃に回帰…>と、気持ちは少しわかる気がする。だが、古墳群がこれだけ残っている現状はすばらしい。
行政は、過去を振り返らずに今ある史跡の価値を誇りに思えるように市民に呼びかけること、それがボクは大事だと言いたい。古墳のある郷土を愛する。そうした人たちがいれば古墳群はいたずらに開発されることもなくその姿を持できるのではないか。
参考資料
「内裏塚古墳群 富津市文化財ハンドブック」富津市教育委員会2011製作(非売品)