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船が好きです。

30年ほど前は東京湾の奥から出口にかけて、よくセーリングで行き来しました。

21フィートのヨットで、本線航路を避けての移動は一日がかり。都内の係留地から沖だしし、富津岬をかわすといきなり海がきれいになる。そこは江戸前の海苔産地。

先日、「木更津市郷土博物館 金のすず」で興味深い展示物に遭遇。6月17日にアップした記事、『海苔に捧げた仁兵衛の海』で書いた小型の和船“てんま舟”(博物館展示名:ベガ舟)が実物展示されていました。

ベガ舟は、ひとり乗り用の木造和船で、平底で竹の櫂(かい)を使い移動し、櫂を浅瀬の砂に突き刺して片手で持ち、舟から身を乗り出して空いた手で竹のヒビに付いた海苔を摘む。海苔は11月下旬から採れ始め、戦前は干潮時にする作業だったが戦後は網ヒビが普及して満潮時にも海苔を摘めるようになった。

 

これがベガ舟。船首に1本の水押材が平な構造の船底板に伸びている。船腹の胴は上棚と根棚の二面。船尾は左右上棚より左右根棚を結ぶ板が奥まっている。

ちなみに木更津市郷土博物館には、江戸時代に使われた3つの船の模型があり、小型の押送(おしょくり)船は櫓(ろ)と起倒式マストと帆を備えた快速船で、江戸日本橋の魚河岸へ鮮魚を運んだ。中型の五大力(ごだいりき)船は江戸に物資を輸送した2本マストの和洋折衷帆船。それに焼玉エンジン搭載の機関船。

 

明治以降に木更津〜東京間で就航した外輪蒸気船の写真も展示。2023年現在、定期航路は東京湾の出口に近い金谷(房総半島)と久里浜(三浦半島)を結ぶ航路だけが残るだけなのは船好きなcoppiにはちょっと寂しい。

 

この博物館は船だけでなく、千葉・木更津市周辺の歴史と文化、考古資料などを総合的に扱っている。上総地方に伝わる掘り抜き井戸の伝統工法である上総(かずさ)掘りの道具(国の重要有形民俗文化財)や模型の展示は必見。また、博物館は太田山公園の高台にあり、“きみさらずタワー”という展望施設がある。2本の柱には日本武尊と、弟橘媛(おとたちばなひめ)の像が向かい合っている。この木更津にまつわる日本武尊伝説は海に関するもので書きたいけれど、長くなるので今回は割愛。

「木更津市郷土博物館 金のすず」、郷土資料を展示する博物館として規模が大きめで展示もわかりやすく撮影もわりと自由。僕のような高齢者や中学生以下は無料。オススメです、ぜひ、足を運んでみてください。

Kisarazu Hometown Museum “Kin-no-Suzu”

休館:月曜(祝日の場合は翌日)と年末年始

開館時間:9時〜17時

千葉県木更津市太田2-16-2  電話0438-23-0011

掲載画像:「木更津市郷土博物館 金のすず」展示物

Post Author: coppi