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「自転車マーク」は、戦前と戦後では概念が変わった。

戦前の高価な自転車にはそれに相応しい装飾をして、格式ある威厳を演出する文化があった。だから、明治・大正時代の実用車=ロードスター、軽快車=ライトウェイト、競争車=ロードレーサーのうちで、実用車や軽快車は、マークやバッジの装飾に自転車製造費用において比重が高かった。

ツーリング車や、趣味性の高いブランドは、マークに凝る(コストをかける)傾向があります。coppi愛用のマウンテンバイクは緑色のダウンチューブにアルミメッキのブランドが貼り付けられています。

戦前の高級車は「ヘッドバッジ」が七宝焼で作られていましたが、コストをかけない場合はエナメル仕上げで、やがて戦後はプラスチック仕上げになったりした。マークの製法によって自転車の格式が読み取れる。21世紀は転写マークのシールは当たり前になったが、デザインセンスによって感じ方が違ってくる。センスはコストの問題ではないですね。

旧来の自転車泥除けに燦然と輝く「マスコット」は、実用車や軽快車の前泥除け先端に取り付けるものだ(20世紀までのクルマや、中世大航海時代の帆船舳先に取り付けられたマスコットは芸術性とアピール度が抜群!)。

梶原利夫さんのコレクションの一部を見せていただいた。「ステーバンド」は、リヤステーや前泥除けの辺りに取り付ける。「ハトカバー」は、ハンドルステムの先に取り付けてロッド式ブレーキを覆うように取り付ける。「オイルキャップ」は、ハブの胴やボトムブラケットのグリス穴を塞ぐものだ。

戦前までは、ネジ類の頭を覆う「カバー」や「バッジ」であって、小ネジの頭自体がマークでしつらえた特別感ある「装飾ネジ」もあった。

ところで実用車(Roadster)と軽快車(lightweight)をどう分類するか。時代によってその概念は変化するのは当たり前。自転車業界では、自転車産業振興協会の実用便覧区分がありますが、20世紀末から概念は細分化され枝分かれしている。カーゴバイク、クロスバイク、シティサイクル、電動アシスト、果ては電動スクーターまで、どれも実用的ですし、乗り手の感性次第で軽快に楽しくも走れる。統計分類には定義も必要ですが、自分にとって使いやすくて楽しければいい。

coppiが日常の足にしている自転車(自認ロードスター)、これは実用車なのか、軽快車なのかを梶原さんに鑑定してもらいました。タイヤは1×3/8インチ、リヤ三角は実用車のような安い作りですが、フロントフォークや前三角のチューブ構成から総合判断して、「まぁ、軽快車かな」と結論。ちょっと嬉しかったりします。

Post Author: coppi