既報の「FERRO Mari e Monti」で、とても貴重な「戦前車試乗会」が開催されていた。
100年前にフランスで製造され、動態保存されているヴィンテージ自転車が4台、“南房総のユジューヌ・クリストフ”T.Yさんのご厚意で特別に来場者に乗せてくれていた。しかも無料で!
ラインナップは1910年代製造の「Automoto」、1920年代製造の「Alcyon」、1929年製造の「Labor」、1930年代製造の「Rodior」。上の写真、手前がLabor、奥がRodior、Alcyon、そしてAutomoto。いずれもコンクールに出せるほどの良い状態。
フェッロ・マリ・エ・モンティを知らずに立ち寄っただけの自転車乗りも、誓約書類にサインするだけで乗せてもらえた。クルマやオートバイのヴィンテージでは有りえない。そして4台を乗り比べることで、戦前自転車の乗り心地と個別の乗り味を実感できるという素晴らしさだった。
ほとんどの人が最初、細身のフレームとホイールベースの長さに戸惑いをみせた。
だけど、「地面を蹴ってお尻をサドルにのせればスーっと走りますから」とアドバイスされて走り出せばもう、時計の針が逆まわり! 異口同音、「これが軽く走れたので驚きました」となったのはアリシオン。700×28Cのシングルギヤでギヤ倍数2.3。
これがアリシオン
かくあらん、T.Yさんは2020年の沖縄ブルベをこれで完走した。「クセがなく非常に乗りやすく長距離向き。ラグレスフレームにアルシオンのAをもじったフロントギヤがお気に入り」との由。
アリシオン創業は1890年頃で、エドモンド・ジェンティルが自転車製造を手がけたあとにオートバイや自動車を生産。プロサイクリングチーム活動は1905年から1959年まで熱心に取り組み、第一次大戦前にツール4連覇やチーム賞を獲得。この当時が最強だった。
T.Yさんが10月25日のフェッロ、ミドルコースで選んだのはLaborだった。こちらはアリシオンとギヤ倍数は同じだがホイールは700×40B。それでも快調に南房総の潮風をうけて流れるように走っていた。
Laborで快走するT.Yさん
ちなみにコンクールの動態保存とは、消耗品であるタイヤやブレーキパッドは現代のモノでいい。しかし、いにしえの雰囲気を壊さない現代モノをチョイス。ヴィンテージ趣味、奥深い。